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ヤクルトの勢いは本物か? 記録で見る首位巨人を追う根拠と不思議

 

早くも独走態勢を固めるかに思えた巨人を追うのが、開幕前の下馬評ではBクラス予想が多かったヤクルトだ。今季も実は、チーム打率リーグ4位、防御率リーグ6位。果たして、このチーム、強いのか、弱いのか。
※記録は7月27日現在

しぶとさを裏付ける数字


7月25日、巨人との直接対決では川端慎吾(中央)のサヨナラ打が出た


 巨人が走り始めたセ・リーグで、必死に食らいついているのが、前年6位のヤクルトだ。開幕前の評価は低かったが、ここまで31試合を消化し、15勝12敗4分、首位巨人に3.5ゲーム差の2位につけている。今季のヤクルトの特徴は“粘り”。先制された後の逆転勝ちが5、先制し、ひっくり返された後の逆転勝ちが4としぶとい戦いを見せている。

 ただし、投打の成績を見ると、まったく巨人に及ばない。チーム打率は巨人.270、ヤクルト.256、チーム防御率は巨人3.19、ヤクルト4.74。打率はリーグ4位、防御率は最下位だ。はっきり言えば、とても2位のチームの数字とは思えない。さらなる不思議は、6月の4勝5敗から7月に11勝7敗4分で急浮上したのだが、月別防御率は4.17が4.97と悪化。打率も.256が.255となったに過ぎないところだ。

 まず打線だが、実はこの低打率にもかかわらず、打点は巨人に次ぐリーグ2位の145。リーグ最多となる131四球、14死球で出塁率が巨人と1厘差の.344であることに加え、リーグ2位の21盗塁もある。昨年リーグ2位の本塁打が5位の27本(1位の巨人が46本)と減っていることを考えれば、悪いなりに効率的、かつしたたかな攻撃をしていることがうかがえる。

 個人別に見ると、一番・坂口智隆、二番・山田哲人、三番・青木宣親、四番・村上宗隆はリーグNo.1の上位打線と言える。特に三、四番だ。村上の打率.351、33打点もそうだが、三番の青木の打率.337、6本塁打は村上の4本塁打を上回る。

 登録抹消となった二番の山田哲は、打率.233だけを見るとブレーキにも見えるが、19四球を選び、出塁率は.352と悪くない。ほかの3人も坂口.399、青木.449、村上.449。途切れぬツバメ上位打線は数字からも分かる。なお、山田哲は得点圏打率.313で打点は17、盗塁は5。悪いなりに貢献してきただけに抜けた穴は決して小さくない。

 さらに、好調の山崎晃大朗、7月.324のエスコバーもいる。むしろ、これでなぜこの打率なのかと疑問にもなるが、急激に落としているのが八番打者の打率.098。九番は投手だから、ここで流れが切れることが多い。捕手の中村悠平嶋基宏の離脱もあっての数字だ。

投手陣は悪いなりに整う


チームの勝ち頭は4勝を挙げている小川だ


 投手陣の数字は、打線のような隠れた好素材は多くない。それでも石川雅規の離脱があった先発陣は、小川泰弘が踏ん張っているうちにスアレス、さらに原樹理が帰ってきた。高梨裕稔高橋奎二らもおり、頭数はそろったと言える。リリーフも抑えの石山泰稚が7月に入り安定し、中継ぎで清水昇が奮闘。決して合格点とは言えないが、悪いなりに整ってきた。

 ほか与四死球105はリーグ最少、守備面では守備率がリーグ2位の.991、併殺は最多の33。打たれながらも余計な走者や進塁を許さず、試合のリズムを何とか保っている。チームを乗せていく“劇的ゲーム”も7月25日の巨人戦(神宮)で、故障に苦しんだ川端慎吾のサヨナラ打が生まれ、対巨人4勝3敗1分と勝ち越しだ。果たして、この勢いを最後まで続けることはできるか。

写真=BBM

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