巨人・長嶋茂雄が象徴的だが、かつて「三塁手」は守備の花形であり、打線においてもチームの看板を背負うことが多かった。その後、小粒になったとも言われた時代を経て、今、若き強打の男たちがその座に就き、新たなる伝説を築こうとしている。 ※記録は8月9日現在 「プロでも守備は大事に」
ドラフト会議2週間前のこと。履正社高で思い出の場所を問うと即答した。
「三塁ベースです。あそこでたくさんノックを受けた。打つほうが注目されますが、守れないと使ってくれない。プロでも守備は大事にしていきたい」
打ってはスタンドまで運ぶパワーが魅力の安田尚憲は、ロッテ入団後もドラフト当時と変わらぬ思いを持続けている。「守れないと試合には出られない」と、無観客試合となった今季序盤は、試合後に三塁に入ってノックを受けることもあった。送球に不安はあるものの、1失策と徐々に安定感が向上。すると、7月21日から四番・三塁の起用となり、18試合で13打点を挙げるなど打線に欠かせぬ存在となりつつある。
8月9日の
オリックス戦(京セラドーム)では1対0の9回一死満塁で1ボール2ストライクからの5球目、左腕・
山田修義が投じた外角への141キロ直球を左翼へ運ぶ適時2点二塁打で貴重な追加点を挙げた。「必死に食らいついた」と安田。不動の地位を築くため、さらなる守備力向上とともに、打撃でも日々勉強しながら、四番として成長を果たす。
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