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デーブ大久保コラム「パ・リーグの優勝争いは2強です。ソフトバンクと楽天の戦力は拮抗してます」

 

楽天ソフトバンク戦の第2戦、3回裏に0対7から辰己がソロ本塁打を放ち、勢い付き6回には逆転。この楽天の実力にソフトバンクは今後の戦いに警戒感を強めたはずです[写真=井沢雄一郎]


 今季のパ・リーグはこの先、この2強による優勝争いになっていくのだろうな、と感じた3連戦でした。4月9日からの楽天対ソフトバンク(楽天生命パーク)です。私は、今季の予想は楽天を優勝とし、ソフトバンクを2位にしていました。その予想の中で、今季の2チームの第1ラウンドが行われ、注目しました。

 第1戦は楽天先発の涌井(涌井秀章)とソフトバンクの石川(石川柊太)の投げ合いで1対1の引き分け。第2戦は3回までに7点を奪われた楽天が逆転も、ソフトバンクが追いつき8対8の同点として引き分け。第3戦は2対0の投手戦を制したソフトバンクが勝ち、このカード1勝2分けでソフトバンクが勝ち越しました。

 ただ私は3試合ともスコア以上に僅差のゲームだったと思います。試合の流れでどちらかが3連勝した可能性もあった。つまり2チームに大きな差はない、ということです。どちらかが勢いで勝っているというのではなく、戦力が整った中で、どっしりとした戦い方をしているのです。

 解説者の立場からしたら、監督は特段采配を振るうことなく、メンバー表だけ作成して、あとは試合の流れを見るだけでいいようなチーム同士です。やはり引き分けになってしまうことが多いです。

 第3戦は0対2で負けた楽天。4回に一死満塁というチャンスを作りましたが、うまく点を挙げられなかった。ここに若干ですが采配の差が出たかな、と思います。でも一方で、ソフトバンクに関しては第2戦で、5回に先発・高橋(高橋礼)を引っ張り過ぎて、逆転のきっかけを作ってしまった部分が、少し采配が後手になったかな、と思います。

 多分、工藤(工藤公康)監督は、今季の1勝目を高橋礼につけてやりたかったのだと思います。この失敗は、強いチームがやりがちなことなのです。今後はないと思いますが、こういうことが続くと選手たちは「本気に勝ちにいっていないんじゃないの?」と疑心暗鬼になり始めることもあります。さらに楽天相手ですからね。楽天は今季さらに補強して、打倒・ソフトバンクを本気でやろうとしているチーム。その最初の対戦で甘さを見せてしまうとスキを突かれてしまいます。逆転されたソフトバンクは、逆転を許した直後のイニングで同点に追いつき、らしさを見せました。ただ、ソフトバンクは「少しでもスキを見せたら、楽天は打ってくる」という警戒心を持ったはずです。楽天は負け越しましたが、今後の戦いの中で、ソフトバンクにプレッシャーを感じさせるような試合ができたことは、今季の戦い方に対し「オレたちはやれる」と思えたはずです。

 この3試合の戦いの中で、この2チームは間違いなく、戦力が拮抗していることが分かりました。第3戦はソフトバンクが取りましたが「今年の楽天は違うぞ」という危機感を持ったのではないかと思います。次回、この2チームの対戦が本当に楽しみです。

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