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デーブ大久保コラム

おかわり君が残り8本で通算450本塁打。当然500本塁打まで頑張ってほしいです【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

今年で39歳の中村剛也。6度の本塁打王に輝くなど本当にすごい打者になりました。あのポーンと軽く打ち上げる本塁打は芸術ですよね[写真=BBM]


 キャンプも終わり、オープン戦が始まりました。若手はまだまだ競争の中にありますが、ベテラン選手たちは自分なりの調整をして開幕に合わせていく流れになります。そのベテランの中で気になる男がいます。私がサンペイと呼んでいる西武の中村剛也です。

 皆さんは「おかわり君」の愛称でなじみがあると思います。彼も今年で39歳ですよ。もう「おかわり君」と呼ぶのもなんだかなあ、という感じですが、その風貌は相変わらずで癒されますよね(笑)。

 彼との出会いは2008年。西武の打撃コーチのときでした。05年に22本塁打を打ってから2年間は9本、7本と伸び悩んでいました。そのときのスイングはバットがやや遠回りをしてくるアッパーでした。以前にこのコラムでお話をしたとは思いますが、そこからさまざまな取り組みをしました。

 アッパーをやめて、右肩からバットを45度の入射角に入れることを体に覚えさせました。そしてインサイドアウトのスイングをするために、ネットを使った右腕の使い方を入念にやらせました。そしてアーリーワークなどで1日800球以上を打ち込みました。

 入射角を覚え込む際は、普通の人は3年くらいはかかるのですが、サンペイはすぐに身に付けて、後半戦にはバンバン本塁打を打ち始めました。彼の場合は、ボールにスピンを掛けて飛ばす技術が格段にうまいんです。この08年には46本塁打、09年には48本塁打で本塁打王に輝きました。あの飛ばない統一球のときも、ほかのバッターが苦労する中、何もなかったように大きな飛球を軽々と打っていましたね。

 そんなサンペイが現在通算442本塁打。あと2本打てば、あの長嶋茂雄さん(巨人軍終身名誉監督)に並ぶのです。出会った当時に、ここまでの打者になるとは思いもしませんでした。彼はわれわれのような体形の選手には大きな希望の星になっています。背もそこまで高くない男が、あの飛距離を出すのですからね、本当にバッティング技術というのはすごいものです。

 一度つかんだ技術は一生ものですよね。39歳ということで以前のようなパワーはないと思いますが、本塁打とは、フェンスの向こうへ打てばいいだけのこと。サンペイは本塁打を打てる技術は十分に持っていますから、まだまだ打ってくれると思います。また、西武も功労者には手厚いので元気なうちは契約を続けてくれると思います。

 私の願いは500本塁打以上を打つこと。そのときは歴代9位になります。1位が王貞治さん、2位野村克也さん、3位門田博光さん、4位山本浩二さん、5位清原和博、6位落合博満さん、7位が張本勲さんと衣笠祥雄さんで、9位におかわり君……ひとりだけ威厳のない名前ですが(笑)。でもそこまでは必ず打ってほしいです!

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