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山崎夏生のルール教室

審判にも守備妨害が適用!? 状況別のインターフェアとは?/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

ブルペン練習では捕手の送球の邪魔にならぬよう適切な位置取りや、盗塁やけん制球に備え右手を前ではなく横に出すなどの工夫もする[写真=筆者提供]


【問】6月末、大谷選手の出場しているエンゼルス戦で、飛び出した三塁走者を刺そうとした捕手が悪送球をし、走者は悠々とホームインしました。ところが球審はタイムをかけ、その得点を認めずに走者を三塁に戻すジャッジをしました。どうやら捕手の腕が球審のマスクに当たり、その結果の悪送球だったようです。

 審判にも守備妨害はあるのでしょうか?


【答】はい、滅多にないケースですが実はあるのです。もちろん球審が故意に妨害することはありませんが、捕手に近づき過ぎていたために結果的に送球動作を妨害すると、5.06(c)2「球審が、盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の送球動作を妨害(インターフェア)した場合―各走者は戻る」のルールが適用されます。ですから球審は捕手の送球プレーがあると察知したならば、あらかじめ捕手との距離を広めにとる、あるいは素早く一歩下がるなどして対応しなければなりません。

 もう10年ほど前の二軍戦ですが、二塁走者の盗塁を阻止しようとスローイング態勢に入った捕手が球審と接触し、このルールが適用されました。ところが次の回にも同様のプレーが起こり、捕手はわざと球審と接触し、明らかにセーフのタイミングの盗塁を無効にしようとしたのではないか、とトラブルになったことがあります。

 いずれにしても球審は接触を避けるよう、十分に注意しなければなりません。

 ちなみに塁審が野手と接触した、あるいは送球の邪魔になった、送球に当たってしまったなどの場合にはナッシング(成り行き)でボールインプレーです。そういった事態を避けるためにも審判は俊敏な動きと送球ラインを読む力が必要です。

 また、打者の送球に対する妨害は原則的に打席内ならば適用されません。ここは打者の安全地帯だからです。打席外に出てしまえば、例えばそれがエンドランやスクイズプレーのためにやむなく飛び出したとしても守備妨害となります。打者は6.03(a)3「打者がバッタースボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレーおよび捕手の守備または送球を妨害した場合」によりアウト。走者の進塁はできませんが、この妨害にもかかわらず走者がアウトになった場合にはナッシングでそのプレーは生かされます。ちなみに、この妨害行為が三振目の場合には、すでにアウトが確定した打者の妨害ということで、対象となる走者もアウトになります。

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