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MLBニュース2021

大谷翔平、「世界一の選手」へ大きな一歩 二刀流をやり遂げたメジャー4年目

 

エンゼルス・大谷翔平[写真=Getty Images]


進化を遂げた「二刀流」、オールスターでも史上初の投打同時出場


 球史に残る大谷翔平のメジャー4年目のシーズンが幕を閉じた。1918年に「野球の神様」ベーブ・ルースが達成して以来、実に103年ぶりとなる2桁勝利&2桁本塁打の偉業にはあと一歩届かなかったものの、シーズンを通して高次元での投打二刀流を完遂。奪三振や安打、打点といった投打混合での5部門で100の大台に乗せるメジャー初の記録をつくるなど、現代野球では前例のない驚くべきパフォーマンスを見せたシーズンだった。

 メジャー1年目の2018年は投手として10試合に登板して4勝2敗、打者としては103試合で打率.285、22本塁打と二刀流として順調なスタートを切ったが、翌年は右ヒジ手術の影響で打撃に専念。コロナ禍でシーズンが大幅に短縮された2020年は2年ぶりに投手復帰を果たしたが、再びの負傷により投手としては2試合の登板に終わった。

 1年目以来となる本格的な二刀流での活躍が期待された今季は、初の投打同時出場となった4月4日のホワイトソックス戦で本塁打をマーク。4月26日のレンジャーズ戦では3年ぶりの勝利投手となり、投打ともに順調なスタートを切った。登板の際はほとんどの試合で指名打者制を使用せず自ら打席に立ち、登板前日と翌日の試合にも打者として出場。投打の二刀流は進化を遂げ、これまで以上に本格的なものとなっていった。

 6月には打者として打率.309、13本塁打、23打点、OPS1.312を記録して野手部門で自身メジャー初となる月間MVPを受賞。さらに、7月も打率.282、9本塁打、19打点、OPS1.067の成績で2カ月連続の月間MVPに輝いた。投手としても7月までで5勝1敗と好成績を残し、7月のオールスターゲームでは史上初となる投打の二刀流で出場。ホームランダービーに出場した翌日に勝ち投手となり、「真夏の祭典」の話題を独占した。

ベーブ・ルース以来の偉業は持ち越しも、「投打5部門での100」達成


大谷を応援するエンゼルスファン[写真=Getty Images]


 後半戦は日本人初の本塁打王と、ベーブ・ルース以来となる2桁勝利&2桁本塁打の偉業達成なるかに注目が集まった。

 本塁打王争いでは6月29日のヤンキース戦で27号、28号を2打席連続で放ってリーグ単独トップに浮上。前半戦を終えて33本塁打とし、2位のブルージェイズ・ゲレーロJr.に5本の差をつけていた。しかし、8月に入るとペースダウンし、9月13日にゲレーロJr.が2戦連発となる45号を放ってついに首位陥落。その後、終盤になって猛追してきたロイヤルズのペレスにも逆転を許し、大谷は46本塁打でリーグ3位のフィニッシュとなった。

 8月以降、大谷の本塁打ペースが鈍った一因は、相手による執拗な四球攻めだった。打線の厚みの面からも大谷は勝負を避けられやすい状況にあり、結果的にはリーグ最多となる20回の申告敬遠を記録。終盤はポストシーズン進出のかかるチームとの対戦が多かったこともあり、9月24日のマリナーズ戦では1点差の9回に1死走者なしの場面でも申告敬遠を宣言された。その結果、9月21日に45号を放ってからは足踏み状態となり、最終戦での46号は実に11試合ぶりの本塁打だった。

 一方、投手としてはオールスター以降も好調で、8月は4登板して3勝0敗。計25イニングを投げて27奪三振、3四球、防御率2.88という成績で史上初となる投打での月間MVP受賞の可能性も浮上した。だが、9月3日のレンジャーズ戦で9勝目を挙げて以降は勝ち星がなく、最終成績は9勝2敗で2桁勝利はならず。9月20日のアスレチックス戦、9月27日のマリナーズ戦では好投を見せたが、いずれも打線の援護がなかった。

 ベーブ・ルース以来となる偉業達成は惜しくもならなかったが、最終戦で100打点をクリアしたことで「安打・打点・得点・投球回・奪三振」と投打混合の5部門で100の大台に乗せるという史上初の記録を達成。大谷のメジャー4年目は、ベースボールの歴史に残る偉大なシーズンであったことは間違いない。「世界一の選手」を目指して海を渡って4年、その目標に向けて大きな一歩を刻んだ1年となった。

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