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2023ドラフト直前展望

【2023ドラフト番付】1位は12球団同時入札 大学生好投手をめぐり競合必至!!

 

今年も高校生、大学生、社会人のドラフト候補選手は粒ぞろいだ。各12球団は引退選手、戦力外通告の状況を受けて、現有戦力を冷静に見渡しながら、新人選手を補強する。ドラフト番付で、1位候補にリストアップされる実力を見極めていく(10月15日現在)。
写真=矢野寿明、福地和男

■2023ドラフト番付【最終版】 ※△は投手は左投げ、野手は左打ち


第1回1位入札は「東都7人衆」で評価分かれるか!?


 昨年のドラフト会議は前日までに9球団が「1位指名選手公表」という、異例の展開となった。12球団同時である1位入札が集中するような「目玉級」の選手が不在だったとされるからだ。各球団が補強ポイントに合致する選手を、確実に指名したい思惑があったとも言われる。事前に公表することで他球団をけん制し、「競合回避」の狙いも。今年は「目玉級」が顔をそろえ、直前まで熟考を重ねる球団が多そうだが、広島が10月13日、青学大・常廣羽也斗の1位を公表した。ドラフト番付を見ても、大関までの上位6人は競合してもおかしくない逸材ぞろいである。

青学大・常廣。球団同時の第1回入札を「東都7人衆」が12球団で分け合い、複数選手が重複となるかもしれない


 東横綱に配置した青学大の155キロ右腕・常廣は今年6月、全日本大学選手権決勝で明大を完封し、18年ぶりの日本一。ストレートの質とフォークの精度が高く、この段階で1位候補の立場を手にしたと言っていい。

東洋大・細野


 サウスポーでは最速158キロを計測する東洋大・細野晴希が堂々の西横綱だ。制球力を不安視する声もあったが、この秋は圧倒的な投球を見せており、スケール感ではNO.1。

国学院大・武内


 今秋の東都大学リーグで細野との直接対決に完封勝利(1対0、細野は8回1失点)した国学院大の153キロ左腕・武内夏暉はコントロールが抜群だ。中大の155キロ右腕・西舘勇陽も今秋、49イニングで8四死球(10月13日現在)と圧巻の数字を残す。

中大・西舘


 独自のクイック投法で自身のペースへと持ち込み、亜大3回戦では打者28人で完封する“準完全試合”。青学大・常廣との2本柱を形成する155キロ右腕・下村海翔も、1位入札で競合の可能性を秘め、完成度が高い。日米大学選手権では投手陣の軸として3試合(先発2試合)に登板して1勝、防御率0.82。将来のメジャー予備軍を相手に好投を見せて優勝に貢献し、最高殊勲選手賞を受賞した。

青学大・下村


 亜大の153キロ右腕・草加勝は豊富な練習量で培った抜群のスタミナが持ち味だ。今春のリーグ最多6勝すべて完投で、4完封は亜大の先輩・東浜巨(現ソフトバンク)に並ぶリーグタイを記録した。

亜大・草加


 番付の関係で東関脇となった専大の152キロ右腕・西舘昂汰も、大関級の実力を秘める。専大は東都二部リーグという脚光を浴びない中でも、素材の良さを見せ、第1回1位入札の有力候補だ。

専大・西舘


「朗希世代」が球界をけん引!?


 この「東都7人衆」が第1回1位入札の中心となりそうだが、桐蔭横浜大の153キロ左腕・古謝樹、名城大の156キロ右腕・岩井俊介も、この枠に入るだけの素質がある。また、大阪桐蔭高の148キロ左腕・前田悠伍も見逃せない。今夏は大阪大会決勝で敗退し、自身4季連続となる甲子園出場を逃したが、9月のU-18W杯(台湾)では先発で3勝を挙げ、初優勝の原動力となり、最終評価を高めた。野手では天才的なバットコントロールを見せるENEOS・度会隆輝、強肩強打捕手の上武大・進藤勇也が1位候補。将来の主軸を任せられる左のヒットメーカー、もしくは、司令塔を補強ポイントとするチームは、他球団の動向も見ながら、いの一番に入札のケースもある。

 今年の大学4年生世代は、ロッテ佐々木朗希(大船渡高)、オリックス宮城大弥(興南高)、阪神西純矢(創志学園高)、ヤクルト奥川恭伸(星稜高)らの同級生。将来的に「朗希世代」が球界をけん引しそうな勢いである。

佐々木麟太郎[花巻東高] 高校通算140本塁打スラッガー アメリカ留学を決断


かごしま国体1回戦[対履正社高]、高校最後の公式戦[三番・一塁]は、3打数無安打で初戦敗退に終わり、試合後は「支えてもらった人に、感謝したい」と話した[写真=上野弘明]


 花巻東高・佐々木麟太郎が10月10日、プロ志望届を提出せず、アメリカの大学への進学志望を表明した。かごしま国体に出場した履正社高との1回戦敗退後(1対9、7回コールド)に明かした。

 高校通算140本塁打。プロ志望届を提出していれば、あるNPBの球団幹部は、今ドラフトの「1位候補」と語っていた。

「夏の大会では結果が出なかったんですけど、監督さんのほうから『評価は変わらない』と、ずっと熱心に来てくださっている球団があると聞いていたので、そこに関しては感謝しています。日本の大学さんからもお声を掛けていただいたんですけど、一つひとつ見させてもらって、アメリカの大学でやる意志になりました。直前まで悩んでいました。野球選手、人間としても未熟なので、広い世界で学んでいきたい。トータルに考えて決断しました。英語も勉強しないといけない。これから大変な壁があると思うんですけど、未知のことを1個ずつクリアしていきたいと思います。技術の面でも一から見直して、野球選手として、次のステージに上がれるように、練習をしていきたい」

 父の花巻東高・佐々木洋監督はMLBで活躍する同校OBのブルージェイズ・菊池雄星、エンゼルス・大谷翔平から「今回の判断材料の一つ」と、アドバイスを受けたことを明言した。佐々木はかねてから個人アンケートで将来の夢を「メジャー・リーガー」と記していたが、佐々木監督は「平均寿命、プロ野球の選手寿命も伸びていますので、もう少し教養をつけながら次のステージを目指してもいいんじゃないかな」と話した。そして「野球だけできる選手ではなくて、野球もできる人生を送ってほしい」と、父親の顔を見せた。ある球団幹部は「こちらからは、何かを言える立場にはない」と、言葉を選んだ。

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