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2024背番号STORY

背中に込める熱い思い 「バックナンバー」珠玉のエピソード【セ・リーグ編】

 

背中に“魂”を宿しながらグラウンドに立つ選手たち。多くの選手が背番号に熱い思いを込める。数字の裏に隠されたストーリー。背番号に関する数々のエピソードを集めてみた。

DeNA・佐野恵太「#7」外野からあこがれた背中


佐野恵太[DeNA/外野手][写真=井田新輔]


 長崎啓二カルロス・ポンセ鈴木尚典ら好打者の象徴である横浜の『7』の伝統を引き継ぐヒットメーカーだ。2017年にドラフト9位で入団した当時は『44』。主将としてレギュラーをつかみ、首位打者となった20年のオフに球団から『7』を打診された。「うれしかったですね。僕でいいんですかって思ったし、光栄でした」と振り返る。19年までDeNA初代主将の石川雄洋が背負い、その後ろ姿を外野から「カッコいいな」と見ていた。変更時、石川から「お前らしく頑張れ」と声を掛けてもらった。今季はキャプテンの座を牧秀悟に譲り渡したが、背中で、プレーで引っ張り続ける。

ヤクルト・石川雅規「#19」好左腕の系譜を受け継いで


石川雅規[ヤクルト/投手][写真=矢野寿明]


 その背番号を着けて23年目を迎える。2002年の入団以来、『19』を背負ってマウンドに立ち続けている。入団時、提示されたのは『11』『17』『19』。「周りの人や球団の人から『19は左というイメージもある』と言われて、決めました」と振り返る。ヤクルトでは梶間健一山部太ら左の主戦級投手が背負ってきた伝統ある番号だ。「『19』=石川と思われるように頑張りたいという思いはありました」。ロッカーなどの番号は空きがあれば『19』を選ぶと言い、思い入れは強い。今季勝利を挙げれば、1年目から歴代単独最長の23年連続勝利を記録する。開幕先発ローテーション入りを果たし、金字塔を打ち立てる。

広島・松山竜平「#55」勝負強さは衰えることなく


松山竜平[広島/外野手][写真=早浪章弘]


 シーズン中に取得した国内FA権を行使することなく残留を決めた2018年オフ、自らの意思で背番号を変更した。『55』に抱くあこがれ。「同じ左打者で松井秀喜(元巨人ほか)さんがずっと好きだった」。広島では心から尊敬する先輩の嶋重宣に、ともにプレーする中で仲の良かったエルドレッドも背負っていた。先人への思いは、パワーに変わる。「やるべきことは決まっている。とにかく打つ、結果を残してチームに貢献する」。年齢を重ねて出場機会も限られているが、昨季も代打打率.380(50打数19安打)とチーム屈指の勝負強さを誇る。今季もここ一番に『55』あり!

巨人・秋広優人「#55」伝統の重みを背に


秋広優人[巨人/内野手][写真=桜井ひとし]


 高卒1年目のオフにその番号を託された意味はよく分かっている。松井秀喜が背負った『55』は、もちろん球団の大きな期待の表れだ。そして昨季、一時はクリーンアップを任されるなど一気にブレークを果たした。それでも慢心はない。「ジャイアンツの55番は偉大な番号。『55番を背負わせてよかった』と思われるくらいの選手にならないといけない」。オフには10kg近くの増量に成功し、フィジカル面は着実にアップしている。背負う番号に見合う選手になるために。左翼のレギュラー争いを制して開幕スタメンに名を連ねるのはスタートラインに過ぎない。

中日・梅津晃大「#18」たくましさを増した大型右腕


梅津晃大[中日/投手][写真=橋田ダワー]


 北谷のブルペンで力強い真っすぐを投げ込んでいる。今年でプロ6年目を迎える梅津晃大だ。入団当初の背番号は『28』だったが、3年目の2021年から『18』に変更。「小さいころから松坂さん(松坂大輔、元西武ほか)にあこがれていました。プロで松坂さんと同じ『18』を着けるのが一つの夢でした」と球団に直訴。その松坂が中日時代の19年に背負い、1年の空白はあったものの、梅津が受け継ぐ形になった。狙うは開幕先発ローテーション入り。右肘の状態に問題がなければ、間違いなくそこに名を連ねるだろう。6年目の飛躍を期待せずにはいられない。

阪神・平田勝男「#78」名参謀の意思を引き継ぎ


平田勝男[阪神/ヘッドコーチ][写真=宮原和也]


 現役時代、岡田彰布監督と二遊間を組み、岡田監督の第1次政権下でも『78』でヘッドコーチを務めた平田勝男。2013、14年は二軍監督として『72』を着けたが、オフに再びヘッドコーチとなる際、「背番号『78』に替えてもらうように球団にお願いした。島野さんを見て、いろんなことを勉強した。理想のヘッドコーチは島野さんだから」と星野仙一監督の名参謀として知られる島野育夫の番号を再選択。星野監督時代に専属広報だった平田は、「鬼軍曹」とも言われた島野のいいところを取り入れ、平田ヘッドの味も利かせたやり方で昨季復帰した岡田監督を支えて38年ぶりの日本一へと導いた。

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