週刊ベースボールONLINE

私の現役当時の捕手プロテクターの中身の素材はすべて『綿』でした【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

現役時代捕手として、とにかくワンバウンドをはじかないようプロテクターにも工夫をしていました。また、この当時のミットはミズノ社でした/写真=BBM


 編集担当から連絡をもらい“今週あたりに「グラブ」特集をやります”ということだったので、私もそれをテーマにしようと思っていました。でも、違う企画になったとか? 私の現役時代のポジションは捕手ですから「キャッチャーミット」。これにはすごく思い入れがあるので、今週からミットの話を。多分2週にわたる話になると思います。

 捕手ですからミットだけでなく、防具にもこだわりがありました。最近は、低反発素材を使ったプロテクターが主流ですよね。ワンバウンドしたボールをいかに低反発プロテクターではじかないようにして、体の前に落とし、ボールを操作できるか、を追求しています。われわれの現役時代とは大きく違い、素材の技術もすごく発達しました。うらやましい時代ですよ。

 私の場合は、太っていたこともあったので、股関節が硬く、腰高になる体でした。だから、ワンバウンドのボールに対して、いかに早くヒザを落として体の中にボールを入れていくかがカギだったのです。当時のプロテクターは、低反発なんていうモノではなかったですから、私のようなタイプの捕手の場合、体の中にボールが収まらないと、大きくはじくことになるわけです。

 そこで巨人時代に「どうしたらいいか」と考えました。出した答えが、プロテクターの中の素材をすべてボールをはじかない「綿」にしたのです。編集担当者がこの話を聞いたときに「体保護の面では、ほとんどプロテクターの意味をなさないですよね?」と。そのとおりです! 当たるとめちゃくちゃ痛い。ほぼワンバウンドで死球を受けるのと同じ感覚ですから。現役時代、私の体はアザだらけでしたよ。

 そうでもしないとワンバウンドは防げないというか、それをしないと捕手として食べていけないと思っていました。綿ですから、汗もめちゃくちゃ吸います。試合後半には重くて、重くて仕方なくなる。雨の日などは泣きたくなるくらい重くなるんです(笑)。でも、痛いからと言って、当時の通常のプロテクターをかぶり、バンバンはじいていたら、投手からの信頼はなくなるわけですよ。だからこそ考えた結果、自分自身の技術に合わせた防具を作ってもらい、使用していました。

 それとキャッチャーのマスクです。これは現役当時、フルフェース型が出始めました。現役で使用している捕手は……巨人の阿部慎之助、と言えば分かってもらえますかね。あの型はかっこいいな、と思いましたが、一度試したとき、ファウルチップがマスクに当った瞬間、マスクごと頭を後ろに持っていかれるような衝撃を受け、首がムチ打ちになるような感覚がありました。これは私には合わないな、と。防具にはそのように自分の技術や体の構造に合ったものを作ることで、体の一部となって技術力が上がっていくのだと思います。

 さて、来週は本題のミットについて話をしますね。私が最初に使用していたメーカーはミズノ社のものでした。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング