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変化球はどのコースに投げるのが効果的か?【データで解析 野球の謎!? Vol.9】

 

球種やボールの変化量に応じてもっとも効果的なコースは異なる


どのコースに投げるとバッターにはどう見えるか


 Vol.2〜4では、重力の影響のみを受けてボールが到達した地点を原点とし、そこから回転の影響を受けてどれくらい曲がったかを示した「ボールの変化量」を見ていくことで、ストレートを含めた変化球の「ボールのキレ」や「ボールのノビ」について解説してきました。「ボールの変化量」の平均値から“外れた”ボールのほうが、バッターの感覚を狂わせ、修正や対応を難しくするというわけです。

 ただし、同じ「ボールの変化量」の変化球であっても、どのコースに投げるかによってバッターの感じ方や見え方は変わっていきます。

(c)Nextbase Corp.


 図1はカーブを(右打者の)内角(A)と外角(B)へ投げたときのボール軌道を上から見たものですが、2つのボールは同じ変化量です。しかし、この同じ変化量のボール(高さも同じ)をバッターの視点で見てみると(図2)、内角へのボール(A)はなだらかに曲がってきているように見えるのに対し、外角へのボール(B)は頂点からキュッと鋭く曲がり落ちてきているように見えます。

(c)Nextbase Corp.


 当たり前のことですが、ストレートも含めた変化球は「ボールの変化量」とともに、どのコースに投げるのかが重要になります。図で例を示したカーブのように、同じ変化量の変化球であっても、どのコースに投げるかによってバッターの感じ方は変わってくるからです。

 例えばカーブであれば(右打者の)内角よりも外角に投げることでバッターには手元でキュッと曲がっているように見え、ホップ系のストレートであれば低めよりも高めに投げることでより浮き上がっているように見え、フォークであれば高めよりも低めに投げることでより落ちているように見えるのです。


 だからこそピッチャーにしてみれば、まず自分の投げる変化球の「ボールの変化量」を把握し、そのボールをどのコース・高さに投げるとバッターにとってはどう見えるのかを知ることです。つまり、どのコースに投げればもっとも効果的になるかを知っておくことが、投球を組み立てる前提になるのです。

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