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村田修一引退?ふざけるなよ【川口和久のスクリューボール】

 

村田、俺はまだまだできると思うよ


金太、せめてストライクを


 いよいよ夏の甲子園100回大会が始まったね。プロの世界にも甲子園を沸かせた選手と出場できなかった選手がいる。この時期になると「あのときの甲子園でさ……」とかいう話で盛り上がることもあるけど、出れなかった俺からすると、話に入れず、ちょっと悔しいんだよね。

 今回は、始球式リレーというヤツで、地方大会で99回始球式をやって開会式の後が100回目。それがゴジラ、松井秀喜だった。しかも自分の母校・星稜の試合だからね。どれだけ運がいいんだろうな。

 あいつが高校3年生の夏は、ご存じのとおり明徳義塾高戦の5打席連続敬遠で終わった。戦略としてはありだけど、高校野球は人間形成の場と言ってやっているわけだし、正直、失態だと思ったけどね。

 今回の始球式は、松井から始まって、毎日、甲子園のレジェンドたちの始球式がある。わが師匠で沖縄の星、安仁屋宗八さん(沖縄高)、延長18回再試合の太田幸司さん(三沢高)とか。いいんじゃないかな、オールドファンも楽しめて。

 今回はプロに行かなかった人も入っているけど、元プロ野球選手が始球式をするとき、いつも思うのは、芸能人やサッカー選手と同じじゃダメということ。やっぱり100キロは出してほしいし、年齢的に難しいなら、なんとかストライクに入れてほしい。100年大会のときは、王貞治さんが始球式をし、ストライクだったでしょ。ああいうのをさりげなくやるのがカッコいい。「ストライク?それがどうかしたの」みたいにね。

 心配なのは、阿波の金太郎こと、水野雄仁(池田高)かな。肩を壊してやめた男だしね。金太、しっかり準備して、せめてストライク、頼むぜ。

 俺の母校・鳥取城北高の1回戦の相手は京都の龍谷大平安高になった。平安はちょうど甲子園通算100勝がかかっているらしいね。京都の知り合いに「お願いしますよ」と言われたけど、お願いなんかされてたまるか! 絶対に負けるなよ、後輩諸君。俺、初戦は仕事で行けないけど、勝ち上がったら応援に行くからね。

引退はまだ先でいい


 プロの世界では、7月31日に今シーズンのNPBの移籍期間が終わったけど、次の日、元巨人で、BCリーグ・栃木の村田修一が、今シーズン限りでの引退を発表した。会見では「引退という言葉は使いたくない」と言っていたらしいけどね。

 でも村田、引退なんてふざけるな、だよ。まだあきらめるのは早いんじゃないか。今シーズンはBCリーグでプレーを続けるわけだし、プレーを続けている限りは、また来年、オファーがあるかもしれないよ。

 俺が引退を決意したのは、体より気持ちだった。まだ140キロは出せたと思うけど、負けても悔しさがなくなったんだ。もっと勝ちたいとか、もっとうまくなりたいと思わなくなった。

 あいつは違うでしょ。悔しさがあって、しかも2000安打という目標がある。しかも「やりたい」と思えば、BCリーグで継続できるわけだしね。テレビ番組で「子どもたちのために頑張っていた。それが糧だった」という話をしていたけど、だったらもう少しやってみないか。

 俺が巨人の投手コーチ時代、村田には随分助けてもらった。三塁のグラブさばきがピカイチだったからね。投手がやられたと思う球をさっとさばいてくれたことが何度もある。ただ、バッティングは「ここで打ってくれ!」と思うところで「あれ?」って思ったことが何度もあるけどね。

 いまさらと思うかもしれないけど、体を絞って、もう一度勝負してみてもいいんじゃないかな。飛距離は落ちるかもしれんし、男村田の美学には反するのかしれんけど、きっと違うスタイルが見えてくる。いまの巨人時代と同じスタイルのお前には、オファーがなかったけど、新しいお前にはあるかもしれないよ。

 どうだい、思い切って20キロくらい減量して、来年はNPBで新しい村田修一を見せてくれよ。きっと息子さんも喜ぶよ。

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