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6月 精神面での成長「追い込まれて『ファウルでもいいや』と開き直れた」【柳町達の成長“月誌” 4年目の到達点】

 

1打席目はカウント的にも、気持ち的にも、追い込まれていましたが、得点につながる一打を打ててホッとしました


 このコラムは、ソフトバンク柳町達選手が月ごとに振り返る形で、自身の技術面、精神面それぞれにおいて“どんな変化=成長があったのか”を、具体的にポイントになった試合も挙げながら書いていく、『2023年シーズンの軌跡』です。試合に臨む中で、どういう意識、どういう考えを持ってやっているのか。「そのとき、そのときの自分の頭の中、胸の内を、いいことも悪いことも書いていけたらなと思っています」(柳町)。

 5月の後半ぐらいから、徐々に先発での出場が増えてきました。6月は先発出場が18試合、代打での出場が4試合、守備からの出場が1試合。やっぱり、(試合に)スタートから出るのと、途中から入っていくのでは、気持ち的な部分でも違いはあります。

 スタートのときは、やっぱりちょっと気が引き締まるというところもありますし、打席数もある程度はもらえるので、どこかで1本打てたら、フォアボールでもいいから出塁できたらと、一日一善じゃないですけど、試合を通じて何かできたらなと思ってやっています。

 途中から行く場合は、どこで行くかも分かりませんし、試合展開によっても全然違ってくる。いい意味で気を抜くじゃないですけど、オンとオフをしっかりするというのは意識していますね。自分の出番までは試合を見ながらも少しゆったりと構えていて、行くとなったら一気にスイッチを入れる。その切り替えは意識しています。

 状況を見て、そろそろ来そうだなと思ったら、軽く体を動かしながら気持ちを入れていく。道具を着けたら、もう完全に気持ちを入れるようにはしています。切り替えて、やるしかないなと。

 それこそ、交流戦期間中は普段、対戦することのないセ・リーグのピッチャー相手というところでも、いろいろと意識することはありました。自分の中ではいつもどおり、変わらずに行ってはいたんですけど、パ・リーグのピッチャーとは攻め方が違ったりしたので、そういうところで狙い球を変えてみたり。だから、打席内では、いつも以上に集中というか、考えることは多かったですね。やっぱり打席内でのボールの見え方というところでも、「こういう変化球なんだな」とか。そして、見た球種はできるだけ頭に入れるようにして、どう対応するのがいいのか、瞬時に判断するようにしていました。

チャンスで絞り出せた


 もちろん普段、対戦していないからこそ、大胆に行く場面もあります。スタメンで出た場合は基本的には3打席はあるので、思い切り行くところも。そういうところも、状況を見ながら、ですね。

 そういう意味では、6月1日の中日戦(PayPayドーム)は自分なりにうまく対応できた試合かなと思います。その3試合前ぐらいから全然打てていなくて、自分なりに危機感というか、「そろそろ打たないと……」という思いが強かったんです。そもそも、ちょっと思うようにいかなくて「嫌だな」と思いながら試合に入った中で、初回から二死満塁の場面で打席が回ってきました。

 そこで何とか1本、2点タイムリーを打てたというところでは、自分の中でちょっと、気持ちが楽になったじゃないですけど、「やってやった」と。苦しい中でも何とか絞り出せた1本でしたね。

 チャンスで打席が回ってきたときは、やっぱり「打ってやる」という気持ちは強くはなります。ただ、うまくいっていないときは、「打ってやる」という気持ちもありつつ、どこかでちょっと、なんて言うのか、「打てるかな……」という不安要素もある。1日の試合は、第1打席で、その不安に打ち勝つことができました。

 この打席は、3球で追い込まれているんですよね。そのときは正直なところ、「ヤバいな」と思っていました。追い込まれ方も、よくなかったので。ボールから入って、空振り、空振り。最初、チェンジアップを空振りして、次のボールはインコースの真っすぐだったんですけど、たぶんチェンジアップを意識しながらの空振りだったと思います。それがコースに来て。だからもう、自分の中で「インコースだったら、ちょこんと当ててファウルでもいいや」ぐらいの気持ちで、次のボールを待つことにしたんです。それが結果として、いいところに飛んでいったのかなと思います。追い込まれて「ファウルでもいいや」と開き直れた。それが良かったのかなとも思いますね。

 やっぱり追い込まれてしまうと、いろいろとやろうと思っても無理。気持ちを切り替えて、難しいボールはもうファウルでいいから、「甘いところに来い。そのときは絶対に逃さない」という意識ではいます。

 タイムリーになって、だいぶホッとはしました。やっぱりチャンスで打てたというのが大きかったです。当時はクリーンアップのあとを打つことが多くて、この試合も六番打者での出場。この打席のように、得点につながる結果というのが求められていました。そこで1本出たので、すごく良かったなとは思います。

 クリーンアップのあとの打順というところでは、やっぱり近藤(近藤健介)さん、柳田(柳田悠岐)さんと、出塁できる素晴らしいバッターが前にいて、実際にランナーがいる場面で回ってくることも多いので、そこをどうやって返していくのか。任された役割をしっかりと全うできるように、日々の練習から取り組んでいます。

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