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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第103回 全府中「NPBトリオ」永野将司編

 

千葉ロッテ時代の永野のピッチング[写真=BBM]


部長からの補強指令


 昨年、全府中倶楽部(以下、全府中)の補強テーマは、まずは「投手力強化」だった。もちろん既存の投手陣にはそれぞれ力を持ち合わせた精鋭がおり、さらにステップアップすれば、投手陣の充実も図れるという手応えを感じていたが、守りの要、なおかつ精神的主柱として頼れる存在になりうる投手は……と考えると、それは残念ながら不在と言うしかなかった。

 そして、相田征一部長から「絶対的なエース」の補強指令が出る。それも獲得対象は「元プロ」だった。つまり、2021年にNPBのシーズン後に戦力外となった選手の中から、われわれ全府中への加入が可能な選手を探し出す作業をしなければならない。その前年まで読売巨人軍でプロスカウトの仕事をしていた僕にとって、それはとても好都合であった。獲得対象の戦力外選手たちは、まさに僕がプロスカウト時代に調査をしていた選手ばかりだったからだ。

 巨人を退団したときには、また競技者視察をするなどとは、これっぽっちも思っていなかったが、僕は相田部長が会長を務める企業の人事担当で、全府中のスカウト活動も担当している堀切浩太君と2人で12球団合同トライアウトに出掛けていくことになる。堀切は全府中の元選手であり、俊足で鳴らした外野手で、人一倍チームを愛する熱血漢だ。

 トライアウトに参加する選手たちのことは、僕の頭にほぼ入っており、縁があれば全府中の力になってもらえるようにと移籍につながるための手段をすべて尽くした。12球団合同トライアウトでは戦力外選手にはなっても、所属していたチーム以外のNPBチームの編成ニーズによっては再契約に至るケースもあり、また国内の独立リーグや社会人野球の企業チームでのプレーを継続するチャンスをつかめる選手もいる。僕はそれぞれの選手の獲得の可能性も含めて、数十名のトライアウト参加選手の中から数名をリストアップし、堀切に交渉を託した・・・

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