自らのボールに手応えを感じているという菊池雄星[写真=GettyImages]
四半世紀前に
野茂英雄が、そして20年前に
イチローがメジャーへ挑んだとき――日本を代表するピッチャーとフィールドプレーヤーは、それぞれの武器を携えて未知なる世界で戦おうとした。メジャーの野球にどこまで自分のスタイルが通用するのか。野茂はストレートとフォークで三振を奪うことにこだわり、イチローはヒットを打ってスキのない走りを見せ、卓越した守りで敵を圧倒することにこだわって、ともにメジャーで十分過ぎる存在感を発揮した。
しかし、いつしかメジャーへ挑む日本人選手の多くは、自らの武器で勝負するよりもメジャーの野球にアジャストすることを優先させるようになった。メジャーの野球は日本の野球とは違うからと、ピッチャーなら例えばボールを動かし、バッターならチームのためにとホームランを捨てる。それは野茂やイチローの時代と違って、日本人選手がメジャーの球団と高額な契約を交わすようになった分、数字で結果を残す責任が生じるようになった流れも無視できない。ある意味、やむを得ないアプローチだとも言えるのだが、観る側からすれば正直、物足りないという気持ちも拭(ぬぐ)えなかった。
そんな中・・・
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