好走塁を駆使して和歌山大会を制した智弁和歌山高ナイン
ついに陽(ひ)の目を見た。
イチローがずっとイメージしていた“幻のプレー”が、現実のものになったのだ。7月27日、夏の甲子園出場が懸かった和歌山大会の決勝。市和歌山高と智弁和歌山高の対決は6回裏、智弁和歌山高の高嶋奨哉が市和歌山高の
小園健太から先制タイムリーを放って均衡を破った。7回表、すかさず市和歌山高が追いつくと、その裏、智弁和歌山高が2点を勝ち越す。試合が動き始めた終盤、1点の重みは増すばかりの展開だ。
8回表をゼロに抑えて3対1で迎えた8回裏。智弁和歌山高がさらに突き放すべく二死一、二塁のチャンスをつかむ。一塁ランナーが宮坂厚希、二塁ランナーは大西拓磨。ここで大仲勝海が三遊間の深いところへゴロを打った――この先、野球好きがイメージする当たり前のプレーはこうなる。
ショートが三遊間の深いところで捕って、セカンドへ投げる。一塁ランナーは二塁へ滑り込むも間に合わず、フォースアウトとなってスリーアウト、チェンジ。
ところが一塁ランナーの宮坂はここで二塁へ滑り込まず、二塁ベースを一気に駆け抜けてノンストップで三塁へ向かった。そのおかげで市和歌山高のセカンドの捕球よりも宮坂がベースを踏んだ足のほうが早く、塁審はセーフを
コールする。市和歌山高のセカンドは、宮坂をアウトにしようと三塁へ投げた。すると宮坂は二、三塁間でストップ、挟まれてしまう。
その間、二塁ランナーの大西は・・・
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