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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「6球場“12球”に見る栄えある開幕投手の美学」

 

今季“プロ野球の第1球目”を投じた日本ハム・加藤貴はスライダーを選択。“山田の美学”に通じるものがあった


 まるで桜の咲くが如く、この季節の恒例行事ではある。それでもこの枕詞は書き綴っておく。

 12年連続で開幕投手を務めた阪急ブレーブスの山田久志は、そのこだわりをこう表現していた。

「開幕投手の第1球はストレート、その初球に手を出す一番バッターは失礼だ」――この1球のために準備を重ねてきたピッチャーの想いを汲(く)めば、バッターは初球を見送るべきだという美学。山田の独特のこだわりを聞いて以来、毎年、12人の開幕投手と12人の一番バッターがどうするのかが気になってきた。今年も開幕投手の初球の行方を追ってみよう。

 まずは3月30日に開幕した北海道。新球場で開幕投手を務めたファイターズの加藤貴之はイーグルスの一番・辰己涼介に対し、初球、120キロのスライダーを投じた。辰己が見逃してストライク……なぜだろう、加藤が選んだスライダーは、山田が選ぶストレートと根っこのところがつながっている気がするから不思議だ。昨年のシーズン本拠地最終戦で今年の開幕投手を公表された加藤のプレッシャーはいかほどのものだったか。精密を極めるコントロールと多彩な変化球を持つ加藤が、あの第1球を投じるまでに何を考え、どんな準備をして、なぜスライダーを投げるに至ったのか・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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