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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「次世代へ受け継がれる職人の技術と物語」

 

今年2月のWBC日本代表合宿でダルビッシュ有は後輩たちと変化球談義を交わし、後輩たちはダルビッシュのブルペン投球を食い入るように見ていた[写真=榎本郁也]


 今年のWBCが始まる前の宮崎合宿で、ダルビッシュ有は佐々木朗希に聞かれてスライダーの投げ方を伝授していた。そのとき、ダルビッシュはこう話している。

「(佐々木が)すごくいいスライダーを投げてるなと思っていましたし、以前のスライダーも覚えてるので、それに比べたら(今は)トップレベルのスライダーを投げていると思います。でも、本人はもっと横に変化させたいというところで、そういう観点で見るとまだやることはあると思うので……」

 佐々木のキャッチボールに寄り添い、一球ごとに曲がりを確認しながらアドバイスを送るダルビッシュ。彼には宮崎合宿の間、日本代表の若いピッチャーたちが臆することなくアドバイスを求めてきたのだという。そのことについて、ダルビッシュはこう言った。

「そこがすごく変わったなと思うところの一つで、10年前であればこういう変化球の話をしても、じゃあ、オフシーズンにちょっと練習しとくとか、キャッチボールでやってからというところだったんですけど、それって本当に上達しない考え方なので……今の選手たちは(アドバイスを)言ったら今日、ブルペンで投げてきますとなるので、みんなオープンマインドになっていて、新しいことにチャレンジするところの怖さがなくなってきてるのかなと思います」

 遡ること14年、あれは2009年のWBCでのことだ。日本代表のピッチングコーチを務めていた山田久志は、準決勝を控えたドジャー・スタジアムでの練習中、当時22歳だったダルビッシュを呼んで、こう言った。

「ダル、抑えをやってみないか」

 しかしダルビッシュは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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