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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「“これぞプロ”──本能に従った何気ないプレー」

 

昨年4月4日のオリックス戦[京セラドーム]では、ソフトバンクの二塁手・牧原大成が見事なポジショングで先制点を防いだ[写真=牛島寿人]


気づきに必要な違和感を覚えるか


 キャンプたけなわ、沖縄から宮崎へと行脚が続く。同年代の手練れた野球記者と分厚いステーキを頬張りながら、「これぞプロ」というプレーって何だろうという話になった。もちろん誰が見ても明らかに分かるファインプレーにもプロならではの高い技術が詰まっているのだが、さほど難しく見えないプレーにこそプロの凄味が詰まっていることがあるんじゃないか、と盛り上がった。そして、野球を観る側がその凄味に気づくためには「あれっ」という違和感が必要になる、という持論に賛同してもらって悦に入った。こんなふうにうまいものを堪能しながら野球談義を深めることができるのは、キャンプ取材の“あるある”だ。

 思えば昨シーズンもいくつかの「これぞプロ」というプレーに遭遇できた。真っ先に思い浮かぶのがホークスのスーパー・ユーティリティー、牧原大成の守備だ。センターを守れば前の打球を潰し、後ろの打球に追いつく。内野を守ればセカンド、ショート、サードまでもすべてを高いレベルでこなす。つまり、見た目に分かりやすい牧原のファインプレーは昨年だけでも数え切れないほどだったのだが、「あれっ」という違和感を覚えたのは、打った瞬間、これはライト前ヒットだ、と思った打球がセカンドゴロになったからだ。打ったのはバファローズの森友哉、捕ったのが牧原だった。

 昨年の4月4日、大阪で行われたホークスとバファローズとの一戦。初回、ツーアウト三塁と先制のピンチを背負った石川柊太は、カットボールを四番の森に芯で捉えられ・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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