『輝ける球人』──この言葉がこれほどピッタリくる選手がほかにいるだろうか。自身が入団時に目標としていた40歳を超えてもなお、第一線で光り続けるその投球。衰えるどころか進化を止めない左腕からはたくさんの“楽しい”があふれている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、BBM アップデートの繰り返し
ギャップが見る者を虜(とりこ)にする。マウンドでの投球だけでなく、インタビュー取材でも、和田毅は42歳という年齢を感じさせない。時折、笑顔を見せながら、一つひとつ、丁寧に言葉にする今の思い。エネルギッシュに、野球に対する自らのスタンスを語る。 ――6月11日現在、8試合に登板して5勝1敗。登板数も勝ち星も着実に積み重ねています。
和田 今のところは、運良く勝ちがついたりというのもあるので、そういう意味では昨年よりは順調に来ているのかなとも思います。でも、やっぱりもうちょっと長いイニングが……ですね。5イニングで降りることがあるので、もう1イニング、3分の1イニングでも長く投げられるようにしたいなとは思っています。
――2016年に日本球界に復帰し、左肘手術や左肩を痛めたことも。苦しい時期を乗り越え、今季も休みながらではありますが、開幕から先発ローテーションで回っています。客観的に見て、自身のことをタフだと思う瞬間はありますか。
和田 ケガをしても何とか戻っては来られていますからね。戻って来られない選手もたくさん見ていますし、そういう意味ではタフというか、本当に運がいいのかなと。それだけトレーナーさんだったり、病院の先生もそうですし、周りの環境に恵まれているのかなとも思います。
――年齢を重ねてきたからこその自身の強みというのは?
和田 やっぱり経験、ですよね。今までたくさんの打者と対戦してきましたし、試合の流れとか、そういうところではほかの選手よりは、経験としては持っている。自分としてはそこはしっかり生かしていかないといけないなと思います。あとは、あまりないですかね(苦笑)。
――経験が一番生きてくる瞬間は?
和田 ランナーが出た場面とか。イニング、点差とか、いろいろな状況を踏まえたときに、どうするのか。ここだったら1点はしょうがないか、とか思えた場面も今まで何度も経験してきているんですが、こういう気持ちで投げたらいい結果が出たなとか、こういうメンタリティーのときは打たれていたかなとか。経験と照らし合わせて、自分を奮い立たせることはあります。
――実際に対戦する相手は、新しい選手もどんどん出てきます。どのように対応していくのでしょうか。
和田 それはもうデータを見ていくしかないですね。初対戦のバッターは全然分からないので・・・
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