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広島・九里亜蓮インタビュー 一段一段、一人ひとり「打たれた悔しさを、ずっと持ったままやる」

 

プロ入り10年目と節目のシーズンを迎えた。ただ、右腕に特別な意識は「まったくない」。常に変わらず、チームの勝利のために腕を振る。投球そのものは、確かな進化を遂げながら──。
取材・構成=菅原梨恵 写真=松村真行、BBM

広島九里亜蓮[投手/10年目]


シーズン中も継続して


 勝負の夏を前に、広島が勢いを増している。リーグ戦再開後、6連勝などもあって、7月2日現在、首位・阪神とは3.5ゲーム差、2位・DeNAとは2ゲーム差の3位。先発の一角を担う九里亜蓮も、今季はひと味もふた味も違う。6勝は床田寛樹と並ぶチームトップ。防御率1.76はリーグ2位の成績を誇る。強い気持ちでも、チームを引っ張っている。

――ここまでを振り返っていかがですか。

九里 うーん、あんまり自分でも分かっていないんですよね(笑)。

――「分かっていない」というのは?

九里 オフシーズンにアメリカに自主トレに行って、いろいろなことを学んで帰ってきました。それが全部できているかって言ったら、できているわけでもないんですよ。まだまだいろいろと、例えばフォームにしても直さないといけないところはあるし。完璧はないとは思うんですけど、自分の中で納得したような感じかと言われるとまだまだ、なんです。

――ただ、結果としては防御率1点台と数字にも表れていますが。

九里 そこもね、分からないんですよね(苦笑)。いいのかな、とは思っています。

――先ほど、アメリカの話が出ましたが、2022年のオフは3年ぶりに海を渡っての自主トレ。なぜ、再びアメリカでやろうと思ったのですか。

九里 『ドライブライン・ベースボール』(トレーニング施設)にずっと興味があって、チャンスがあれば行ってみたいと思っていました。ただ、新型コロナウイルスの影響で、行くのが難しい状況になって……。ようやく落ち着いたので、このタイミングで行っていろいろと学んでみようと思ったんです。僕自身、コロナ禍で、21年は最多勝のタイトルを獲らせていただくことができましたが、次の年、昨季はまったく良くなくて。「このままじゃもう、勝っていけないだろうな」と思ったのが一番強い。このままのピッチングスタイルなのか。いや、何かを変えなければ勝てないと思ったので、これはもう(アメリカに)行こう、と。

――アメリカに行って、何が一番の発見で、自分の方向性はどういうふうに見えてきたのでしょうか。

九里 行って話をして最初に思ったのが、考え方がまったく違うということ。日本の野球と、アメリカの、メジャー・リーグの野球というところで、考え方がまずまったく違いました。自分のフォームをセンサーをつけて分析したりするのですが、そういうのを今までちゃんとやってきたことがなかったので、実際にやってみると、やっぱり直すべき点というのが何個も何個も出てきて。自分の体についてだったり、膝の使い方だったり、グラブの使い方だったり、本当細かいところをいろいろと知ることができた。毎日いろいろなことを勉強しながら、いい時間、いい1カ月になったなと思います。

――いろいろあるとは思いますが、あらためて何が一番、日本の野球とアメリカの野球で違うと感じましたか。

九里 一番、ですか。ピッチングフォームで言えば・・・

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