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DeNA・東克樹インタビュー 雲の先には蒼空が「ここまで山あり谷ありのプロ野球人生ですけど、何一つ無駄なことはなかった」

 

11勝を挙げ、新人王を獲得した2018年シーズンから早5年。活躍を期待されながらも左肘痛に悩まされ、20年にはトミー・ジョン手術を経験した。それでも、左腕の心は折れなかった。もがいた先に蒼い空があると信じたから。リーグトップの勝ち星がその証明だ。
取材・構成=武石来人 写真=幡原裕治、桜井ひとし、BBM
※成績・情報は9月17日時点

DeNA東克樹[投手/6年目]


思考を変え行動に移す


 開幕から先発ローテを守りながら、キャリアハイの14勝をマークし、最多勝争いの先頭をひた走る。先発した試合すべてで5回を投げ切っている事実は、首脳陣の信頼の証しでもある。昨季と明確な違いを見せる活躍の陰には、変化を恐れず前だけを見つめた取り組みがあった。

――ここまでキャリア最高と言えるシーズンを送っています。その要因はどこにあると感じていますか。

 オフシーズンから、去年の成績を踏まえて、どこをどうしたら良くなっていくのかを考えながら過ごしてきたことが形になっているのだと思います。

――今季は東投手だけでなく、平良拳太郎投手、楠本泰史選手、関根大気選手の1995年世代全員の活躍が目立ちます。

 開幕前から同級生世代の中で、僕らはここからチームの中心にならなければいけない年齢ですし、「核になろう」ということは話していて。そのために頑張っていこうと共有していました。

――核になると誓った開幕前の時点で今の成績を予感していたのでしょうか。

 数字の部分ではまったく想定していませんでしたね。シーズンに入ってからも「今年はいけるかも」と思ったことは一度もなくて。とにかく1試合1試合を試行錯誤しながらやってきました。ただ、投げたいボールやフォームについては、こうしたいというイメージを持って取り組んでいたので、そのとおりに投げられているなとは感じますね。

――今季の大きな変化として、オーバースローからスリークオーター気味に腕を下げました。さらに、体の使い方にも変化が表れているようにも感じます。

 入団してからずっと、上から腕を振り下ろすような体の使い方をしてきたんですけど、左肘のトミー・ジョン手術(肘内側側副靭帯再建手術・以下TJ手術)を経て体つきが変わり、自然と体の軸も変化していました。にもかかわらず昨年は過去の自分と重ね合わせて、無理やり縦に投げ下ろそうとしてしまい苦労したんです。今季はそこをかなり変えて、体の使い方を横軸に近づけています。

――順序としては、腕を下げることから始めたのでしょうか。それとも体の軸が横になったことで自然と腕が下がったのでしょうか。

 腕を下げることからですね。投げていく中で、もしかしたら今の体に合うんじゃないかと思ったことがきっかけだったので。腕を下げたことで体が横軸へと向かっていったんです。加えて、誰かに言われるのではなく、自分の中で「こうしたほうがいいんじゃないか」ということを見つけることができた。自分から変えられた、変える決断をできたことは良かったと思えている部分です。

――とは言え、大きく変えることに恐怖心はありませんでしたか。

 あのときは、もうやるしかなかったので・・・

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