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広島・島内颯太郎インタビュー 覚悟と努力の証し「しっかり考えた上で選択したボールを、気持ちを乗せて投げたい」

 

開幕から、ひたすらに腕を振り続けた。調子が上がらないときも、変化を求めるのではなく、今一度、自分を見つめ直すことで乗り越えた。右腕が62試合で築き上げてきたもの――。その揺るがない信頼は、指揮官からだけではない。
取材・構成=菅原梨恵 写真=川口洋邦、桜井ひとし、牛島寿人

島内颯太郎[広島/投手/5年目]


今までにない、いい経験


 間違いなく飛躍の1年と言っていい。島内颯太郎は今季、マウンドに上るたびに強く、たくましくなっていった。投じられる球種は、ほぼストレートかチェンジアップ。にもかかわらず、打者は簡単にとらえることができない。抜群の安定感を誇り、チームが全143試合を消化した10月1日現在、リーグトップの62試合に登板。球団記録を更新する39ホールドに、球団記録タイの42ホールドポイントで球団史上初となる最優秀中継ぎ投手のタイトル。球団史に残る活躍は、右腕にとっても自信となって輝く。

――一度も離脱することなく、ペナントレースを終えました。

島内 一度も離脱がないのは、僕だけの力じゃありません。首脳陣の方々の声掛けだったり、いろいろな方の支えがあってのもの。本当にいろいろな方に感謝の気持ちがありますね。

――5年目のシーズンを迎えるにあたっては、オフシーズンから強い思いをにじませていました。

島内 昨年は思うような成績が残せずに、登板数も22試合。ちょっと僕の中でふがいないまま終わってしまったので、今年は何としてでも結果を残したいと思っていました。オフシーズンから、体づくりから始めてやってきた。野球中心の生活というか、本当に「野球にかけたいな」という気持ちで始めたので。それがここまでの成績につながっているかは分からないんですけど、覚悟を決めてやって良かったなと思います。

――これまでも野球中心ではあったと思いますが、何を、どんなふうに変えたのでしょうか。

島内 例えば、体づくりにおいても、今まではあまりサプリメントやプロテインも取らなかったんですよね。そこにあまり興味がなかったというのが正直なところで、普通にトレーニングしてご飯を食べて。なんか、プロ野球選手っぽくないというか(笑)。でも今年は、体も大きくしたいと思いましたし、1年間やっていく上での疲労などにも考慮して、サプリメントを取ったり。意識的なところでも、今までの年とは違いました。

――結果としては、キャリアハイを大きく更新し、タイトルも獲得する活躍。これは自身の取り組みの成果としては当然のものなのか。それとも、想像以上のものでしたか。

島内 ちょっと難しいですね(笑)。それぐらいの気持ち、覚悟で今年は始めたので、結果に関して、あまり驚きはないんです。ただ、驚きはないけど、ここまでとも思ってなかった、というか。キャリアハイは何としてでも、という気持ちで臨んだ年だったんですけど、僕の想像以上の部分もありますね。

――2021年もシーズン51試合に登板されていました。21年のときと何が一番、自身の中で変化がありましたか。

島内 21年は本当に最後のほうに勝ちパターンで投げさせてもらっての51試合でした。今年は早い段階で勝ちパターンに定着してやれたので、やっぱり僕の中にも責任感が出てきた。僕個人のためだけじゃなくて、チームの勝ちにも直接かかわってくるようなポジションなので。そこを意識しながら毎日過ごしてきたというところでも、今季は違うというか、難しさはあったのかなと思いますね。優勝争いやクライマックスシリーズをかけてというのも、僕自身、5年目にして初めてだったので。そういう中で投げさせてもらえているというのは、やっぱり幸せでもありましたし、楽しみもありましたが、同じだけプレッシャーもありました。今までにない、いい経験をさせてもらっているなという思いもありますね。

――今季、これだけの成績を残すことができた要因はどこにあると思いますか。

島内 やっぱり技術的なところと、精神的なところと、両方の面で・・・

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