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BIGHOPE 光る新鋭

オリックス・本田仁海 輝ける場所「投げることが好きなんです」

 

心は静かに燃えている。2年目の2019年に右ヒジ手術で育成契約も経験した23歳は、楽しさと喜びをかみ締める。「投げることが好きなんです」。自らの力を発揮する新たな場所。昨季まで先発として腕を振った男は今季、ブルペンに厚みを与える存在に。躍進の陰には一つの思いがある。
取材・構成=鶴田成秀 写真=宮原和也、BBM


救援投手の矜恃


 ブレない心を持った男は強い。先発投手として飛躍を期した右腕は今季、ブルペンの一角に。最速158キロの威力十分の直球を武器に、僅差の展開をはじめ、勝ち継投に割って入る勢いを見せている。そんな右腕の思いを聞けば、転向1年目ながら、発する言葉の端々から救援投手としての矜恃(きょうじ)がにじみ出る。

――開幕から3カ月が経ち、登板機会が増す中で、得たものは「自信」と「課題」ではどちらのほうが大きいですか。

本田 自信のほうが大きいです。今まで緊張してマウンドに上がっていたんですけど、過度な緊張をしなくなって。それは自信を持てているからなのかな、と。

――得た自信が心の余裕となり、より実力を発揮できている、と。

本田 もちろん、どの登板も緊張感というか、責任感を持って投げています。でも、マウンドでアップアップしなくなっていて。開幕から投げてきた、その積み重ねが自信につながっているのかなと思うんです。たぶん、初めてホールドを記録した試合くらいから(5月8日、対楽天戦=京セラドーム)。そのあたりから、良い意味での余裕を持てているんです。

――同点の7回に登板し、先頭打者から連打を浴びるも無失点に抑えての初ホールドでした。

本田 連打されて1アウト二、三塁になったんですけど抑えられて。振り返ると、そこで自信がついた気がしますし、分かったこと、感じたこともあるんです。

――と言うのは。

本田 リリースのタイミングです。それがすごく良くて。そうなると、やっぱり真っすぐにキレが出る。試合後にトラックマンの数字を見ても、回転数も多くて、自分の感覚と一致しているなって思ったんです。あの良い感覚を知れたので、今では投げていて自分の状態の良い・悪いはしっかり分かるようになって。マウンドに上がって、投球練習の5球で分かるんです。

――となれば、感覚が良くないときの修正法も覚えてきたのでは。

本田 そういうときは、クイックで投げたりしてみるんですけど。でも、そこまで深く考えないんです。悪かったら悪かったで、投げていく中で修正しよう、と。調子が悪いからと言って、だからこうしようとか、何かを意識しようと思うと、逆にダメになってしまう。自分の状態を知って整えるのも大事ですけど、マウンドは相手と勝負する場所。そこが一番大事だと思うので。

――救援投手の矜恃ですね。となると、昨季まで先発登板を重ねていましたが、『先発への思いは』は……。

本田 ないです。昨年まで先発で、ファームでもローテで回って、一軍でも先発させてもらいましたけど、結果が出なかった。それに、僕の持ち味を生かすには、リリーフのほうが合っているのかなと思うんです。もちろん、監督・コーチから『先発』と言われたら全力で取り組みますけど、僕の考えの中で、「いつかは先発に」という思いはまったくないんです。

――救援で勝負する思いが芽生えたのは。

本田 今年のオープン戦からです。3月1日のロッテ戦(京セラドーム)で1イニングだけ投げたんですけど・・・

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