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BIGHOPE 光る新鋭

中日・石橋康太 勝利こそすべて「一軍でも二軍でも自分のできることは同じ。それを出し切るだけ」

 

一軍でマスクをかぶる機会が増え、少しずつ着実に力をつけてきている。将来の正捕手候補の筆頭ではあるが、その目標をつかむことができるかどうかは、これからの本人の努力にかかっている。ただ、それだけの素質があることに疑いはない。
取材・構成=牧野正 写真=井田新輔、太田裕史、川口洋邦


やるべきことは同じ


 開幕は二軍で迎えた。昨年は3年目にして初めて開幕一軍の切符をつかんだものの、今年は出遅れた。しかし小田幸平二軍バッテリーコーチと過ごしたファームでの時間で多くのことを学んだ。開幕から1カ月後に一軍に昇格すると、正捕手の木下拓哉の新型コロナウイルスによる戦線離脱でチャンスが巡ってきた。立浪和義監督の積極的な若手起用の方針もあり、先発マスクをかぶる試合が増え、徐々に存在感を増している。

──シーズンも半分が過ぎましたが、4年目の今季は出番も増え、充実しているのではありませんか。

石橋 木下さんがコロナで欠場を余儀なくされて、それで続けて先発マスクをかぶらせてもらうという機会をいただきました。これまで単発というのはありましたが、続けてというか、1カードすべてというのはなかったので、この経験は本当に貴重でありがたかったです。

──やはり1試合だけと1カードというのは違いますか。

石橋 1試合だけだと、打たれた抑えたで終わってしまいがちですが、1カードとなると翌日の試合、翌々日の試合もありますから、そこまで考えなければなりません。初戦を抑えたら翌日の試合はどうしていくか、打たれたら翌日の試合でどう変えていくのか。続けて同じ相手と戦っていく難しさを感じました。今までもベンチで試合を見ながら(リードを)考えてはいましたが、やはりベンチで見て考えることと、実際にマスクをかぶって試合に出て感じることは違うなと。そこは本当にいい経験になりました。

──開幕一軍はなりませんでしたが、かなり悔しかったのでは。

石橋 でも自分の中で分岐点だったのかなと。二軍バッテリーコーチの小田さんと過ごすことができて、これが大きかったです。技術的なことだけでなく、意識的な面でも変わることができました。あの期間があったから今があるというか。

──どんなことが変わりましたか。

石橋 いろいろとありますが、やはり自分の考え方です。自分ができることというのは、一軍であっても二軍であっても変わらないということ。一軍だからこうする、二軍だからこうする、というのではなく、二軍でやってきたことをそのまま一軍で出す、出し切る、という考え方です。一軍と二軍ではレベルが違いますが、自分の力は同じ。そこで変える必要はないということです。考え方が変わって行動も変わってきました。

──出場機会が増えたこともあり、以前に比べると試合中は落ち着いているように見えますが。

石橋 落ち着いているという感覚はないですね。ひたすら頭の中で考えを巡らせています。ただ、慌ててもいいことはないっていうのは小さいころからずっと言われてきたこと。割と慌ててあたふたしてしまうことがありましたから(笑)。そうならないように常に冷静でいること、そのために試合前の準備は怠らないようにしています。

──わりと慎重派? 捕手向きですね。

石橋 慎重派というより、心配性なんです。一度考え出すと・・・

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