中継ぎに専念した2年目の昨季は47試合に登板し、18ホールドをマーク。チームに欠かせない左腕リリーバーは勝ちパターン入りを確固たるものにするため、さらなる進化を目指している。誓うのは強力投手陣の中で存在感を発揮して、チームを押し上げるピッチング。5年ぶり優勝へ背番号19が新風を吹かせる。 取材・文=上岡真里江 写真=馬原沙織、桜井ひとし 「自分の力で」という手応え
2022年シーズン、主にセットアッパーとして最優秀中継ぎのタイトルを獲得した平良海馬が23年に先発に転向。その空いたポジションの最有力候補として期待されたのが佐藤隼輔だった。本人も「良い場面で投げたい」と勝ちパターンの一角での起用を熱望。ただ、相応の活躍を見せられた時期もあったが、シーズン通して期待に応えられたかと言えば決してそうではなかった。本格的に専念することとなる中継ぎ2年目の今季、背番号『19』の安定こそが、チームの順位を大きく左右するカギとなりそうだ。 ――今年で3年目のシーズンとなります。1年目、2年目、それぞれどんな経験、学びを得たのか、あらためて教えてもらえますか。
佐藤 1年目は右も左も全然分からない状態で、中継ぎをやったり、先発をやったり、いろいろなポジションを経験させてもらえたことはすごくプラスだったと思います。考え方によっては、1つの役割で1年間戦えなかったというデメリットもありますが、逆に先発と中継ぎ両方をやらせてもらえたことで、どちらの流れもつかめたり、それぞれのポジションのやり方なども含め、1年目で大体の流れをつかめたのは非常に大きかったです。
――1年目は、ファームで過ごす時間も少なくありませんでした。苦しんだ時期もあったのでは?
佐藤 打たれるときは打たれましたが、「プロ野球ってこんな感じかな」と。そんなに最初からビシバシ抑えられる人も数多くないと思うので、それなりに現実を受け止めつつ、という感じでした。
――そうした1年目の経験を踏まえ、2年目の昨季を振り返ると?
佐藤 1年目は抑えるときも「なんとなく」という感じだったのですが、2年目は球も速くなりましたし、抑えられているときは運とかではなくて「自分の力で」という手応えもあったので、しっかり通用してきているのかなという感覚がシーズン通してありました。
――自分の力で抑えられるようになった要因は?
佐藤 真っすぐの質の向上と、特に球速が上がったのが一番の要因だと思います。投球フォームやリリースのタイミングをつかめたのが大きかったと思います。
――実際、直球の平均球速は前年から5キロ上がり、150キロを計測しました。
佐藤 そこに関しては、昨季は中継ぎに固定されたことで、1イニングに出し切ることが求められるのと、(先発で)7回ぐらいをメドに先々を考えるのかで違うとは思います。とはいえ、フォームなどが安定して出力が上がった部分もあると思うので、1つ成長したところかなと思っています。
――先発、中継ぎの両方を経験した上で、自身の中ではどちらかに適性を感じましたか?
佐藤 中継ぎも適性があるのかなと思っていたのですが、僕は昔から力み過ぎないときが(投球内容が)良くて。でも、中継ぎだと1イニングを全力で行くので、どうしても・・・
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