週刊ベースボールONLINE

堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第7回「人生は何本もの道があるけれど、結局自分のたどる道は1本しかない」

 

ラスト登板で力投する筆者


ONに引退試合はない?


 ここ2回ほど、コラムで「引退」の話を続けたところ、俺の引退試合の話もしてほしいというリクエストが届いた。喜んでお話しする前に、まず引退試合とは何ぞやを説明したい。

 巨人軍に関して言えば「引退試合」という言葉を使っていいのは川上哲治さんが最後だ。そう書くと長嶋茂雄さんの「わが巨人軍は永久に不滅です」を生んだ試合は、長嶋さんの引退試合じゃないのかという質問がくるだろう。あれは正式な引退試合ではない。「現役最後の試合」または「引退セレモニー」と呼ぶものだ。

 引退試合とは、春のオープン戦で、この試合は○○選手の引退試合だとアナウンスして有料で開催する。その収益金から人件費や球場を借りるなどの諸経費を引いたすべてを功労金としてその選手に贈る。それを引退試合と呼ぶんだ。だから、長嶋さんも王貞治さんも引退試合はやっていない。王さんに至っては、長嶋さんの監督辞任とタイミングが重なってしまったためか、引退を発表するのが遅かったから、ファン感謝デーでのプレーが最後になってしまった。

 しかし、引退した年(1980年)だって30本の本塁打を打っていたからね。それで「自分のバッティングができなくなった」という理由で引退するんだから。俺は王さんから引き際の美学を教わった気がしたよ。その王さんの最後は、長嶋さんのそれとは対照的。引退のあいさつのあと、左打席にバットを置き、一塁ベースにファーストミットを静かに置くというものだった。

 ちなみに、ファン感謝デーでの王さん現役最後の打席。対するピッチャーは誰か知っているかい? そうです。正解は堀内恒夫(笑)。王さんにご指名いただいて投げさせてもらった。王さんから「真剣勝負だ」と言われ、その言葉どおりに投げたよ。結果・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング