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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第18回「DHは野球の本質を変えるものだ。試すならダメなとき潔く元に戻す勇気も忘れるな!」

 

21年では4月16日のヤクルト戦[甲子園]で藤浪晋太郎が2ランを放ち、甲子園での自身1450日ぶりの勝利に花を添えた


面白さが削られている


 ユニバーサルDH――今季からMLBにおいて、ナショナル・リーグでもDH制が導入されるという。現在、MLBでは労使交渉がまとまらず、ロックアウトが続いている。その影響は労使関係にとどまらず、多方面に及んでいるというが、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが2月11日未明(日本時間)に会見を開き、今季からナ・リーグでもDH制を採用すると発表したことは大きい。

 とうとう来たか。アメリカが動くと日本も追随するかのようにルールが変わるのは想像にたやすい。2014年にホームで捕手と走者が衝突することによるケガを防止するための「コリジョンルール」がMLBで採用されると、その2年後にNPBでも導入されている。理由は分かるが、無理してホームに投げる野手は減っただろうし、それによって、ホームでの劇的なシーンも減っただろう。時間短縮をうたった申告敬遠もそうだ。これも理由は分かる。ただ、ピッチャーが4球を投げないことでどれだけの時間が短縮できているのか。それよりも、その4球を投げることによって生まれるドラマが確実にある。その時間で選手の心の動きも感じることができたはずだ。時間を削るよりも野球の面白さが削られてしまっているのではないかとさえ思う。ビデオ判定もそうだし、主審をAIにという話を聞くとゾッとする。

 近年、パ・リーグとセ・リーグとの力の差にDH制があるのではないかという議論があった。それを理由の一つに、セ・リーグもDH制導入をという声が上がっているだけに、MLBが採用すればNPBでの議論が再燃し、導入のきっかけとなることは十分に考えられる。

 記憶に新しいところでは、昨年のシーズン開幕に向けて、巨人がDH制の暫定導入をセ・リーグ理事会に何回か提案した事実がある。新型コロナウイルスの感染防止対策を適切に講じつつ、東京オリンピック開催に対した日程という厳しい条件のもとで、公式戦とクライマックスシリーズを実施することを踏まえたうえでの提案だった。

 提案する理由は3つ挙げられた。第一に・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

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「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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