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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第22回「開幕投手は勝つことも大事だけど、それ以上にエースとしてのピッチングを披露してほしい」

 

72年開幕戦で勝利投手となった筆者[中央。甲子園の阪神戦]


初の開幕投手の重圧


 いよいよプロ野球が開幕を迎える。開幕と言えば、まず開幕投手が誰になるのか。ファンの皆さんにとって楽しみの一つだと思うが、チームにとっては大切な一歩となる。

 巨人では菅野智之が5年連続、球団史上最多8度目の開幕投手を務めるという。彼しかいないだろうね。現在の巨人の投手陣の顔ぶれを見渡したとき、菅野が頭一つ出ている。ただ、そんな菅野も昨シーズンは6勝しかできなかった。今年の菅野が勝つためには、エースとしての風格や怖さをどこまで見せつけてくれるかがポイントになるだろう。

 開幕投手というのはね、監督が「今シーズンはこのピッチャーと心中するよ」とチームに宣言するということ。だから、ここで奇をてらう必要はまったくなく、誰もが認めるエース格のピッチャーを指名することが大切になる。ピッチャーという人種は変わり者やプライドが高いやつが多くてね(笑)。自分と仲間を見比べて、自分の立ち位置というか、力の順番をきっちり見極めている。だから、なんであいつが、っていうのが開幕投手に選ばれると、チーム内に不協和音が生じる種になる。開幕のマウンドをチームが納得するエースピッチャーに託すことで、チームが結束して気持ち良くスタートすることができる。だから大切なんだ。

 俺自身は開幕投手を6度務めている。でもね、巨人のV9時代と言われた9年間(1965〜73年)では2度だけしか投げていない。これは俺自身も意外だった。

 ここでV9時代の開幕投手とチームの勝敗を書いてみよう。

V1 1965年 金田正一 ○
V2 1966年 金田正一 ●
V3 1967年 城之内邦雄 ●
V4 1968年 金田正一 ●
V5 1969年 金田正一 ●
V6 1970年 高橋一三 ●
V7 1971年 渡辺秀武 ●
V8 1972年 堀内恒夫 ○
V9 1973年 堀内恒夫 ●

 俺はV2の年に入団。自分の記憶の中で、初めての開幕投手は4年目だと思い込んでいた。実はそれにはわけがある。68年の開幕投手は金田さんが投げているが、この年の開幕投手は、俺が指名されていたんだ。俺が入団した当時の巨人には菅野一択の今とは違い・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

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「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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