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西武・蛭間拓哉インタビュー “役年”に誓うレギュラー奪取「アグレッシブになんでもトライする1年にしたいですね」

 

昨年、ドラフト1位で西武に入団した蛭間拓哉。1年目は56試合の出場に終わったが“想定内”ではなく、“想定以上”だった。レギュラー奪取を誓う今年。昨年の経験をムダにしない。
取材・文=上岡真里江 写真=桜井ひとし

西武・蛭間拓哉


貴重だった56試合の一軍経験


「今年は絶対にレギュラーを獲るんで!」

 1月中旬のある日、球団の室内練習場トレーニングセンターで自ら課した「マシンで1日5箱」(約500球)のノルマを打ち終えた蛭間拓哉は、そう切り出すと、散らばったボールを一つひとつ拾い集めながら、続けた。

「正直、1年目は結果とかまったく気にしていなくて。ただ、1試合でも一軍の試合を経験できればいいなぐらいに思っていました。でも、思っていた以上に試合に出させてもらえた(56試合出場)ので、その経験を生かして、2年目はしっかりと結果にフォーカスして、絶対にレギュラーを獲ります」

 その力強く、真っすぐな言葉には、今季にかける思いの強さがあふれ出ていた。

 初のライオンズジュニア出身野手であり、大卒のドラフト1位とあって、蛭間には1年目から即戦力としての期待も大きかった。だが、周囲の過度な評価と期待に踊らされることは一切なく、常に地に足を着けて、己の現在地と向き合ってきた。春季キャンプからA班に帯同し、オープン戦も10試合に出場、チームで3番目に多い33打席に立ったが、開幕を目前にファーム落ちが決定。それでも、「まだまだ一軍の試合に出られるレベルではないので」と、落ち込むことなく真摯(しんし)に通達を受け入れた。

 ファームでの日々も、「早く一軍に上がりたい」というはやる様子は微塵もなかった。打撃面では、オープン戦で痛感した「一軍投手の速いボールに少し差し込まれ気味で、なかなか前に飛ばせない」の課題にフォーカス。連日、小関竜也ファーム野手総合兼打撃コーチ(当時)と二人三脚で克服に務めた。守備面でも、アマチュアとプロの打球の差に衝撃を受け、打球判断、ボールの追い方、送球など、すべての要素において「まだまだ身に付けなければいけないことが山ほどある。それができない限り、一軍の試合には出られない」(熊代聖人二軍外野守備・走塁コーチ)と、熊代コーチの打つフライを夕方まで必死に追いかけた。

 そんな中、一軍デビューは本人が思っていた以上に早く訪れた。6月23日に一軍昇格を果たすと、同日の楽天戦(楽天モバイル)から八番・右翼でスタメン出場。翌24日にプロ初安打を記録すると、3試合連続スタメン出場となった25日の同カードでは第1打席で早大の先輩・早川隆久からプロ初本塁打を放ち、チームを活気づけた。その後も、持ち前の天真爛漫さと太陽のような明るい笑顔でベンチを盛り上げ、8月以降は右翼の定位置を確保したが、最後の6試合、背中に違和感を覚えたため登録抹消となり、ルーキーイヤーを終えた。

「結果はまったく気にしない」「1試合でも一軍を経験できればよかった」との想定をはるかに上回る56試合出場、223打席、46安打、2本塁打、20打点、打率.232の成績を残したが、だからこそ生まれた感情がある。「走攻守すべてで、もっとできたなと」との思いだ。もちろん結果がすべて。「これが自分の現状だ」ということは大前提に受け止めている。

 だが、その一方で、「もっといい成績が残せた可能性はあったんじゃないか」という若干の悔しさも残った。それはイコール、ある程度の手応えを感じられたということでもあるのだろう。それがあるからこそ、「今年は絶対にレギュラーを獲る」との強い決意へとつながっているのである。

 攻守走それぞれの技術的な課題に加え、スタメンで試合に出続けることのフィジカル面、メンタル面における厳しさを身をもって味わえたことで、オフの取り組みは明確だった。

レジェンドとの自主トレ


 まずは、真っ先に「一番の目標」と尊敬してやまないあこがれの先輩・・・

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