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【MLB】世界的な野球の人気拡大へ WBCでは新たな強豪国の出現に期待

 

アスレチックスとの強化試合で承知したコロンビア代表。WBCで勝ち上がれば、国民の視線は自然と野球に向くことになる可能性大だ[写真はジョーダン・ディアズ]


 3月8日、WBCに出場するコロンビア代表が強化試合でアスレチックスと対戦、3対2で勝った。投げては9投手が1イニングずつを担当、この中でメジャー経験者は3人だけで、ほかはマイナー・リーガーだが、アスレチックスを9回7安打2失点に抑えた。打っては「六番・中堅」オスカー・メルカド(ガーディアンズ)の本塁打を含む2安打3打点の活躍で接戦を制している。

 WBCでトップチームといえばアメリカ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、日本、これに続くのがベネズエラ、メキシコ、オランダ、韓国などだが、野球の世界的な人気拡大のためには、新たな強豪国が出てくることが必要不可欠。

 コロンビアは今後注目したいチームだと思う。人口5000万人はブラジル、メキシコに次いでラテンアメリカでは3番目。人気のあるスポーツはサッカーで、ワールドカップに6度出場、2014年はベスト8に進出した。野球は人気面でまだまだかなわないが、WBCで良い結果を残していければ、人気が高まり野球をプレーする子どもが増えるだろう。

 アスレチックス戦、「五番・一塁」で先発したのは、アスレチックスの若手有望株でもある22歳、ジョーダン・ディアス。子どものころ、コロンビア出身のエドガー・レンテリア、オーランド・カブレラにあこがれ、野球の虜になった。レンテリアはマーリンズで世界一に貢献、5度オールスターに選ばれたレジェンド遊撃手。カブレラも遊撃手で2度ゴールドグラブ賞を獲得、打っても2000本安打をマークした。2人は今、コーチとしてナショナルチームを助けている。

 ディアスは「2人のプレーをテレビで見て育った。彼らが今、コーチとして加わってくれることをありがたく思う。練習から一緒に汗を流してくれている」と言う。コロンビアの現役選手で、日本で一番名前が通っているのはジョバンニ・ウルシェラ内野手かもしれない。オフにエンゼルスに移籍、本職は三塁だが、内野ならどこでも守れる。

 エンゼルスのフィル・ネビン監督は「野球IQが高いし、賢明なプレーを見せてくれる」と信頼する。ほかにはレイズのハロルド・ラミレス一塁手、ロッキーズのエリアス・ディアス捕手、パドレスのホルヘ・アルファーロ外野手らがいる。

 投手では通算89勝、メッツの左腕ホセ・キンタナがケガで出られなくなったが、パドレスのナビル・クリスマットがリードする。昨季は50試合に登板、67.1イニングを投げ、5勝2敗、防御率2.94だった。コロンビアのプールCは前回の覇者アメリカ、ドジャースのフリオ・ウリアスを擁するメキシコ、フレディ・フリーマンがいるカナダがいて勝ち上がるのは簡単ではないが、コロンビアはこれからのチーム。マイナー球団の若手有望株たちとともに番狂わせを狙う。

 ディアスは「コロンビア出身のみんながメジャーの球団でそれぞれに頑張っている。そのうちコロンビアと言えばサッカーだけでなく野球でも有名と言われるようになりたい」と夢を口にする。GDPも世界39位、野球で強くなるポテンシャルは十分ある国だと思う。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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