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あの日、あのとき、あの場所で 球界の記念日にタイムスリップ

<1986年8月6日>西武・森監督1年目の新記録。1イニング6本塁打はチームプレーの意識の成果

 

6本目はベテラン・大田卓司。この年限りで18年間の現役生活を終え、通算171本塁打を残した大田にとって、これが169本目のアーチだった


2位・西武が5点のビハインドを追い上げる


「15年もキャッチャーをやっていて、初めてのとんでもない経験だった」。その試合でマスクをかぶった近鉄の梨田昌孝は、こう振り返っている。

 確かにそうだろう。何しろ1試合、いやわずか1イニングで、37年経ってもいまだに破られていない日本記録が誕生したのだから。

 1986年8月6日。藤井寺球場において近鉄対西武の第16回戦が行われた。首位・近鉄と2位・西武とのゲーム差は3。近鉄としては、何としても勝って突き放したい一戦である。その熱意が実ったか、初回にいきなり3点を奪った近鉄は、その後も追加点を重ねて7回までに7対2とリードした。そして迎えた8回表、西武の攻撃の場面で岡本伊三美監督は石橋を叩く采配を見せる。ここまで7回2失点と好投していた先発の村田辰美に代えて、「ストッパー」の石本貴昭に登板を命じたのだ。

 現在「クローザー」の登板は、セーブがつく場面での最終回が専らだ。だが当時は、抑え投手たるもの状況を問わず2回や3回投げるのは当たり前だった。この日は石本にとって36試合目の登板だったが、2イニング以上を投げた試合は19を数える。適度に荒れるストレートを武器に、23歳の若きサウスポーがここまで残した成績は6勝18セーブ。7月には月間MVPを獲得した。その活躍は近鉄躍進の原動力であった。しかも・・・

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