球団史上初の連覇達成
【90年代成績】694勝621敗7分勝率.528(リーグ2位) 90年、野村克也監督が就任すると、データ重視の「ID野球」を旗印に掲げ、チーム改革に着手。90年代はリーグ優勝4度、日本一3度の黄金期を迎え、史上最強チームを構築した。
ID野球元年は5位に終わるも、ルーキー・
古田敦也が正捕手の座をつかみ最強捕手に成長していく。91年はその古田が首位打者を獲得し、11年ぶりAクラスの3位と躍進。
広沢克己は初の打点王に輝き、
池山隆寛は4年連続30本塁打と“イケトラ”コンビが打線をけん引した。
西村龍次が15勝を挙げるなど、投打にチーム力は底上げされていた。
「1年目には種をまき、2年目には水をやり、3年目には花を咲かせましょう」の公約どおり、野村監督就任3年目、ID野球が花開いた92年。後半戦突入直後に
巨人を3タテし首位を奪取、9月の大型連敗で崖っぷちに立たされたが、逆転で14年ぶりVを飾った。立役者は首位打者と本塁打王でMVPに輝いた
ジャック・ハウエル。池山、古田らリーグ随一の強力打線が投手陣を援護した。
93年はさらに強さを増し、球団史上初の連覇を達成。新人王に輝いた
伊藤智仁の好投で前半を快調に飛ばし、終盤は8連勝、11連勝で
中日の猛追をかわした。古田は巧みなリードと史上最高の盗塁阻止率でMVP、広沢は2度目の打点王。投手陣では
伊東昭光が13勝、西村は11勝で入団以来4年連続の2ケタ勝利となった。右ヒジ痛から2年ぶり復活の
川崎憲次郎は日本シリーズで涙のMVPを獲得した。3連覇を狙った94年は故障者続出でBクラスに転落し
阪神と同率4位に。高津臣吾が最優秀救援投手に輝いている。
1位→4位の法則
95年、広沢が巨人に移籍しハウエルも退団(巨人へ)。連覇の立役者は去ったが、代わりに阪神から移籍の
オマリーがMVP、テスト採用の
テリー・ブロスが最優秀防御率と両外国人が活躍し、2年ぶりのV奪還を果たした。投手陣5人の2ケタ勝利は球団史上初。日本シリーズは4勝1敗で3度目の日本一を勝ち取った。
96年はまたも相次ぐ故障で4位へ転落。「野村再生工場」の
田畑一也がチーム最多の12勝、
西武から移籍の
辻発彦が打率リーグ2位と健闘した。97年は
小早川毅彦が巨人・
斎藤雅樹から3打席連続ホームランのド派手な開幕。新外国人・
ドゥエイン・ホージーが下馬評を覆す活躍で本塁打王に輝き、後半猛烈な追い上げを見せた横浜を
石井一久がノーヒットノーランでねじ伏せると、開幕から一度も首位の座を譲らぬ圧倒的Vを飾った。西武との3度目の対戦で4度目の日本一となり、古田がリーグとシリーズでMVPダブル受賞を果たす。
98年は「優勝の翌年4位」の法則どおり4位。投手陣は川崎が17勝で最多勝と沢村賞、石井一久が最多奪三振と先発陣は健闘するも勝利の方程式を確立できず。9年間の野村長期政権にピリオドが打たれ、ここに90年代に栄華を極めたID野球は終えんを迎える。
生え抜きの
若松勉新監督が就任した99年は、球団新記録の開幕4連勝と好スタートを切るも2年連続4位に終わった。
ペタジーニが本塁打王を獲得。3年目の
岩村明憲が池山の穴を埋め、2年目の
五十嵐亮太も台頭。世代交代は着実に進んでいった。
■年度別成績 ■90's SWALLOWS ベストナイン ■ベストオーダー △は左打ち 打順/位置/選手名 1(中)
飯田哲也 2(左)△
荒井幸雄 3(捕) 古田敦也
4(一) 広沢克己
5(三)△ハウエル
6(二)
土橋勝征 7(遊) 池山隆寛
8(右)△
稲葉篤紀 9(投) ―――
■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1) △は左投げ 選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率 <先発> 川崎憲次郎/191/76/66/1/3.62
△石井一久/188/56/31/1/3.55
西村龍次/140/56/43/2/3.56
岡林洋一/169/52/39/12/3.50
伊東昭光/183/47/34/3/3.92
△
山部太/138/33/34/2/4.20
<中継ぎ> 山田勉/153/27/15/9/3.97
伊藤智仁/108/29/20/25/2.12
内藤尚行/110/19/21/18/4.31
<抑え> 高津臣吾/350/33/29/128/3.20
■タイトルホルダー <最優秀選手(MVP)> ハウエル 92年
古田敦也 93年
オマリー 95年
古田敦也 97年
<最優秀新人(新人王)> 伊藤智仁 93年
<首位打者> 古田敦也 91年 .340
ハウエル 92年 .331
<最多本塁打> ハウエル 92年 38
ホージー 97年 38
ペタジーニ 99年 44
<最多打点> 広沢克己 91年 99
広沢克己 93年 94
<最高出塁率> オマリー 95年 .429
ペタジーニ 99年 .469
<最多盗塁> 飯田哲也 92年 33
<最優秀防御率> ブロス 95年 2.33
<最多勝利> 川崎憲次郎 98年 17
<最優秀救援(SP)> 高津臣吾 94年 27
高津臣吾 99年 31
<最多奪三振> 石井一久 98年 241
<沢村賞> 川崎憲次郎 98年