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2017年第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での世界一奪回に、金子千尋の力を欠くことはできない。2014年度の沢村賞投手にして、パ・リーグ最多勝&最優秀防御率の2冠投手。豊富な球種を、絶対の制球力で駆使する様は、まるで精密機械のよう。意外にも初代表という右腕の、国際マッチデビュー、そして日の丸への思いを聞いた。
取材・構成=坂本匠 写真=松村真行、BBM

駆け引きをしながらバランスを考えながら


――沢村賞受賞おめでとうございます。率直な思いを聞かせてください。

金子 ありがとうございます。07年くらいから先発をやり始めて、2〜3年ころというのは、どちらかというと、自分の成績が良ければチームも良くなる、という考え方でした。沢村賞を目標に挙げ、そこを目指す気持ちが当時はとても強かったですね。でも、ここ最近は、「チームのために」という考えが先に来ていました。

 自分の成績がすべてではなく、まずチームが勝つことを考える。ですから、今年に関しては、「沢村賞を目指していない」と言うと、誤解を招きそうですが、「1年間頑張ってきた結果、沢村賞をいただけた」という感覚。表現が難しいのですが、受賞を聞いても冷静な自分がいたんですよ。「あ、取れたのか」と。

――ソフトバンクと競りながら、最後に優勝を逃したことで、素直に喜べない部分もあるのではないですか。

金子 ありますね。負けて終るということは本当に悔しい。シーズンを通して成績が良くても、優勝できなかった悔しさと、CSで負けた悔しさの印象が強くなってしまうので。ただ、今はシーズンが終わってから少し時間が経っています。もう冷静にもなれているので、沢村賞をいただけたことに感謝しています。

――14年シーズンの金子選手ご自身のパフォーマンス、成績についてはどう評価、分析していますか。

金子 勝ち数(16)、防御率(1.98)、勝率(.762)など、昨年よりも成績が上がったことを考えると、良かったと思います。でも、1年間を振り返ったときに、悔いの残る試合など多々あるので。ゼロにするのは難しいのかもしれませんが、いかに少なくするか、が今後の課題ですね。

――前年よりも投球回数で32回1/3、完投数で6減らしていることは、何か理由があるのでしょうか。

金子 正直に言うと、チームの順位もありますよね。昨年は5位だったので、終盤までCSを争ってはいたものの、今年ほどリアルには考えられませんでした。でも、今年は、レギュラーシーズンで終わりじゃない、その先があるということを開幕当初から考えながらやっていて。昨年までだったら「まだ行きます」と言うところを、「まだ先がある」と自重する僕がいたのは確かです。

――そういう意味での、完投数10→4だったんですね。

金子 一番長く、日本シリーズまで投げるつもりでやっていましたので。どう表現したら適切か分かりませんが・・・

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