開幕前の下馬評を覆す快進撃で首位をひた走る横浜DeNA。その好調のチームを指揮するのが中畑清監督だ。監督に就任してからの過去3年はいずれも6位、5位、5位とチームは低迷。明るいキャラクターの陰で1人もがき、さまざまな葛藤とも闘ってきた3年間であった。そんな中で迎えた4年目のシーズン。自身も「集大成」と言い切る背水の1年で今年こそ大輪の花を咲かせることができるのか。情熱の指揮官の戦いの日々を追った。 文=永瀬郷太郎(スポーツニッポン)、写真=BBM 監督人生の転機となった試合
石の上にも3年。冷たい石も3年座り続ければ暖まる。そして、就任4年目は「熱いぜ!」。現役監督最高齢の61歳、中畑清。ただ今、絶好調である。
充実した今季の戦いを象徴しているのが5月2日の
中日戦(ナゴヤドーム)だ。1対3で迎えた9回。二死からドラゴンズの守護神・
福谷浩司に襲いかかった。「心中覚悟」で四番に固定した
筒香嘉智が三遊間へのボテボテのゴロを全力疾走で内野安打にする。ロペス、
バルディリスの両外国人が左前打で続いてまず1点。2年目の19歳、
関根大気の打球は右中間を深々と破った。逆転三塁打だ。さらに
黒羽根利規も右中間二塁打で続いた。
二死無走者から5連打4得点の大逆転劇。その裏は抑えに抜てきした「小さな大魔神」、ルーキーの
山崎康晃が3人でピシャリと片づけ、5対3の勝利である。
「奇跡でしょ。野球の怖さを教わった。怖さと凄さと感動とすべて感じられた試合」
興奮して声を上ずらせた指揮官。これぞ2012年監督就任以来、求め続けてきた「最後まであきらめない野球」だ。「正直100敗すると思った」と振り返る1年目。どんなにリードされてもファンは熱い声援を送ってくれる。せめて、あきらめない姿勢を見せるしかない。46勝85敗13分け。なんとか大台敗戦は回避した。
ブランコ(現
オリックス)を加えた2年目の13年は若手も徐々に力をつけ、終盤までクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性を残したが、64勝79敗1分け。5年続いた最下位から脱出して5位に浮上するのがやっとだった。
3年目の昨年、監督としての転機を迎える。開幕4戦目となる4月2日の
巨人戦(横浜)だった。
8対3で迎えた8回。5点リードしているとはいえ、12年は4勝17敗3分け、13年も5勝18敗1分けといいようにやられている相手だ。当時描いていた「勝利の方程式」に従って8回は山口、9回はソーサで逃げ切ろうと思った。
だが、「5点差ありますから、行かせてください」というコーチの進言を受け入れてルーキー
平田真吾をマウンドに送ったところ、大惨劇が待っていた・・・
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