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特集・2016春季キャンプレポート
阪神・金本新監督、ウエート強化で鋼の体作りへ

 

写真=前島進

前日のミーティングでは「鍛えるキャンプ」と若手競争を公言。一、二軍の入れ替えを頻繁に行いチーム活性化を図っていく考えだ



あいにく雨の船出も藤川がいきなりブルペンへ


 球界にとっての正月、2月1日。沖縄県は全体的に雨模様で阪神がキャンプを張る宜野座村営野球場も例外ではなかった。内野グラウンドは水たまりができていたが、室内練習場は熱気が漂う。新生金本阪神の船出をひと目見ようと、約300人の虎ファンが集まった。金本監督が9時40分に到着すると大歓声が上がり、「カネモト〜!」の声援に微笑み、軽く会釈し室内に入っていった。

 この雨で練習メニューも変更。宜野座村による歓迎セレモニーも室内練習場で行われた。その中で金本監督は多くは語らず「最高のキャンプを送れるよう、選手のためにもご協力よろしくお願いします。いろいろ迷惑をかけることもあると思いますけど、大目に見てください」とだけあいさつ。前日の全体ミーティングで選手たちを前にして宣言した「鍛えるキャンプ」の目標を達成するために、地元の協力を仰ぐとともに、虎ファンに呼びかけた。

 その後の投手、野手に分かれたミーティングでは、各コーチが入念に約10分以上をかけて方向性を確認。その中では金本監督がキャプテンの鳥谷敬に笑顔で話しかけるなど、リラックスムードも見せた。また、投手陣の輪では下柳剛臨時投手コーチの姿もあった。

 練習開始となるアップでは、一軍キャンプ初参加で、首脳陣から大きな期待を掛けられている高卒3年目の横田慎太郎の大きな掛け声によりスタート。ここ数年では見かけることがなかったような大きな声が若手選手たちから飛び交う中、いよいよキャンプが始まった。

 今年のキャンプは戦力の底上げを目指し徹底的に鍛えていく方針で「開幕に合わせた調整をしていいのは数人」と金本監督が明言。今年4年ぶりに復帰したかつての守護神・藤川球児もその例外ではなく、自身でポジションを獲得していかないといけない。その気持ちの表れか、ブルペンに投手陣の先頭を切って一番乗り。捕手を座らせて本格投球も披露。金本監督もじっくりとその投球に見入った。また、キャンプイン直前に入団が決まったクローザー候補のドリスも32球の熱投。「ウインター・リーグで投げていた」と話していたとおり、変化球を試しながらの本格的なブルペンとなった。

初日からブルペンに入り捕手を座らせた藤川。調整を免除されていないだけにアピールを続けていく



徹底したウエート強化メニューで鍛え上げる


 野手練習は縮小メニューながら、投内連係、守備練習、そして室内での打ち込みと昨年までと同じようなメニューをこなした。だが、金本式はこれだけではなかった。「鍛えるキャンプ」と宣言したとおり、「特WT」と書かれた練習メニューが新しく入っていた。練習後特別強化ウエート・トレーニングが組み込まれたのだ。「上肢」「下肢」と書かれた欄にそれぞれ選手名が書かれ、今日は上半身、明日は下半身と集中して徹底的に鍛え上げるメニューになっている。これは投手陣も同じ。指名のなかった選手たちは、別メニューとして強化ランニングで下半身を鍛え上げていく内容となっている。

 キャンプイン前「非常に楽しみ」と語った金本監督。初日はあいにくの雨で、少し肩透かしを食らったが、それでもピリッとした表情で選手たちを視察。緊張感の漂う虎キャンプとなった。

じっくりと選手たちを視察しながらキャンプ初日を見守った金本監督



気になるあの人は!?〜横田は初の一軍に緊張!




 初の一軍キャンプ。秋季キャンプでは金本監督から「一軍に連れて行くレベルではない」と言われたが、急転一軍メンバーに入った。もともと監督は「5年で3割50本の選手にするつもりで育てたい」語っていただけに一軍での抜てきは頭にあったはずだ。一軍の中では20歳で最年少。アップ時の全体ランニングでは先頭で最初の声出しを担当。一軍キャンプ2度目の北條史也から声出し方法を教えてもらうなど、戸惑いを見せながら終始緊張気味だった。初日は、室内での打撃練習で自慢の飛距離を披露することはできなかったが、ゲージの中で強いスイングを見せ、金本監督もその打撃をじっくりと見守っていた。キャンプ中に一、二軍の入れ替えあるが、必死に食らいつき29日の最後まで一軍を駆け抜けるつもりだ。
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