週刊ベースボールONLINE

秋季キャンプリポート

オリックス あらためて説く準備の大切さ

 

今季はともにリーグ2位の成績に終わった阪神オリックス。阪神は日本シリーズで、オリックスはCSファーストステージで敗退したが、その熱き戦いで関西を盛り上げた。来季、頂点に立つために両チームの選手は高知で汗を流しているが、ここではオリックスのキャンプの模様をリポートする。
写真=佐藤真一

簡単なことほどしっかり見直す


▲選手と密にコミュニケーションを取りながら、成長を促す森脇監督[右。左はT-岡田]



 6年ぶりにAクラス入りを果たした2014年シーズンは、オリックスにとって躍進の年となった。「進撃2014 さらに、ひとつになろう」をテーマに首脳陣、選手、スタッフ、ファンが一体となり、前へ、前へと進んで行く――。そして白星を重ねるごとに、その結束はより強固なものとなっていった。惜しくもリーグ優勝は逃したが、森脇体制2年目でチームの基盤はしっかりと固まった。

 CSファーストステージ敗退から約2週間後の11月1日、チームは高知県高知市・東部野球場にて秋季キャンプをスタートさせた。今年は若手を中心に29名が参加。レギュラーで1年間戦い抜いた選手、一軍定着が叶わなかった選手、二軍でレベルアップに励んだ選手とさまざまだが、それぞれが課題と来季への決意を持って高知の地で汗を流した。

 監督就任以降、“準備”の大切さを説いてきた森脇浩司監督は、秋季キャンプでも、その大切さをあらためて選手たちに説いた。第4クール初日の11月13日、午前中の練習を終えた野手を集めて、森脇監督は次のように話したという。

「朝起きてホテルを出発するまでの時間の使い方にもムダがあってはならない。ハードな練習をしているわけだから、疲労もたまってくる。そんなときに、そのまま移動のバスに乗ってしまうのではなく、きちんとトレーナー室に行ってケアをしておくとか、そういう準備を怠ってはならない」

 練習前の準備
 試合前の準備
 試合中の準備

 準備がすべての結果を左右する。だからこそ、きちんと準備をして戦いに臨もうと。「意識のレベルが上がらなければ技術の進歩はない。一生懸命だけで答えが出るほどプロの世界は甘くない」と選手たちを鼓舞した。

 練習では、キャッチボール一つとっても、なあなあに行うことを許さなかった。「キャッチボールの大切さを、きちんと理解したうえでやらなければならない。一つの送球ミスから落としたゲームはいくつもあった。簡単なことほどしっかりと見直さないと」。すべての練習は試合につながっているのだ。

 10月半ばまで戦ったレギュラーにとっては、秋季キャンプは疲れを取る場でもあった。不動のセットアッパーとなった佐藤達也も、1年間投げ続けた体を丁寧にケア。その一方で「CSを含めて今季は70試合に登板しましたが、体力的に足りない部分が多かった。80試合投げても大丈夫な体作りをしていきたい」と、体力強化にも余念がない。

 昨年に続き1年間ショートを守り抜いた安達了一は、今後の課題に打撃と守備を挙げた。「バッティングは芯に当てること、守備は柔らかく捕ること」に意識を置いて、日々の練習に臨んだ。昨季より13個アップの、29個をマークした盗塁については、納得できたようで「自信になりました」と笑顔を見せた。

▲ショートのレギュラーである安達にも慢心はなく、技術向上に余念がない



レベルアップに励む若手選手たち


 今季はレギュラー陣が安定感を見せた一方で、レギュラーとそうでない選手との差がハッキリしたシーズンでもあった。コーチ陣も、若手の成長を今キャンプの課題に掲げており、福良淳一ヘッドコーチは「上(一軍)で通用する選手を育てたい」と一言。真喜志康永内野守備・走塁コーチは、レギュラー陣に負けじとノックに励む丸毛謙一堤裕貴縞田拓弥岩崎恭平ら若手の姿に、「頑張っているけど、レギュラークラスは別にして、内野陣はまだ横一戦。安心して出せるようにレベルを上げていかないと」と、意気込んでいた。

 その中で、昨季5試合に出場した高卒3年目の堤は、「すべてにおいてレベルアップしたい」と強い決意を見せた。「前回はたまたまスタメンで出させてもらったけど、いきなりスタメンの中に食い込んで行くのは難しい。守備力、走力をアップして、そういったところから使ってもらえるようにしたい」と言う。

 若手だけではない。終盤にヒザを痛めた糸井嘉男に変わり、CSファーストステージで右翼を守った川端崇義も「全体的なレベルアップが必要」と話す。「しっかり振れるバッティングフォームを身に付けること、守備ではボールまで素早く行くこと、走塁での打球判断、盗塁のスタート……」など、多くの課題を挙げた。

 来季に向けてそれぞれが課題を掲げたが、今季、24本塁打、75打点の好成績を残し、復活を印象付けたT-岡田も例外ではない。「今年は僕にとって大事な1年でした。まだやれるというところを見せられたと思う。でも、今年しっかりできたからこそ、これを来年につなげる1年にしたいと思う」と、すべての面でのレベルアップを誓った。

 リーグ優勝を逃した悔しさを晴らすべく、来季に向けて“準備”を始めた森脇オリックス。新たな課題を胸に2015シーズンへ向かう――。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング