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「熱男」たちが築いた最強ホークス伝説

ソフトバンク強さの理由 新人監督がかけた魔法

 

マジック1で迎えた9月17日の西武戦(ヤフオクドーム)、5対3で勝利して見事に連覇を飾ったソフトバンク。同日時点で2位・日本ハムに14.5ゲーム差をつける独走優勝を果たした。圧倒的な強さを、なぜ若鷹軍団は発揮することができたのか。その裏には新任・工藤公康監督の手腕があった。
写真=湯浅芳昭、前島進、佐藤真一、毛受亮介

連覇へ真っ先に掲げた「故障防止」


日本一チームの指揮官を引き継いで、1年目から見事に結果を残した工藤監督。プレッシャーはあったが、春季キャンプで選手が猛練習する姿を見て、それは吹き飛んだという



 気持ちよくバットを振り抜いた。1対0で迎えた4回裏、六番・松田宣浩高橋光成から34号ソロ、さらに続く長谷川勇也も2号ソロ。これで3対1。若鷹軍団がVへ加速した。投げても先発の武田翔太が7回1失点、そして最後はクローザーのサファテが締めた(5対3)。9月17日の西武戦(ヤフオクドーム)に勝利したソフトバンクが、2年連続の優勝を決めた。

4回、追加点となる34号ソロを放ち、絶叫する松田



 2位の日本ハムに14.5ゲーム差。チームが歴史的な圧倒Vに輝いた要因の一つに、就任1年目の工藤公康監督の手腕がある。秋山幸二前監督の電撃辞任に伴い監督就任要請を受けたのが、1年前の昨年10月。野球解説者として活躍する傍ら、その年の春に筑波大大学院に入学したばかりという状況だっただけに、まさに青天の霹靂だった。

「普通なら断っていたと思う」というその心を動かしたのが、1999年に自身がエースとしてダイエーを初の日本一に導いた当時の監督だった王貞治球団会長だった。「ホークスでの5年間が僕の中にあって、勝てない苦しさ、勝った喜びというのをともに分かち合いながら、王監督に指揮してもらった。あの恩をいつか返したいと今まで野球を勉強してきたつもり。それがこういう機会をいただいた。その恩を返せるように、強いチームをつくりたい」 コーチ経験すらなかったが、日本一軍団の指揮を引き受ける決意をした。

 未経験の監督業でもユニフォームにソデを通した以上、現役時代同様、妥協を許さない姿勢でまさに有言実行のシーズンを送った。昨年11月の就任会見。工藤監督は「故障というのが一番戦力ダウンにつながる。コンディショニングをはじめ、体をつくるというところから周りがサポートできるように、より強固にしていく必要がある」と、リーグ連覇へのポイントとして真っ先に「故障防止」を掲げた。

 自身は徹底した体調管理と妥協を許さない練習、トレーニングで47歳まで29年間の現役生活を続けた。引退後は、筑波大大学院の人間総合科学研究科でトレーニング法やコーチング理論も研究。少年野球教室や講演活動を通じ、少年期の故障を予防する重要性を説いてきた。リーグ連覇へ向けて、これまでに培ってきた「武器」を生かさない手はなかった・・・

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