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東京六大学リーグクローズアップ

明大・高山俊 48年ぶりの安打数リーグ新記録達成へ

 

東京六大学リーグ結成90年に「127安打」の偉業を達成


 昨年春から高山俊(4年・日大三)はグリップエンドに「128」が刻印されたバットを使用していた。明大の先輩・高田繁氏(DeNA・GM)が持つ、東京六大学記録の「127安打」を意識したもの。しかし今春、リーグ連覇を逃す4位で、この秋は自身の背番号「1」を使っている。

「チームの結果が出なかったので……。よくないと思い、変えました」

 V奪回が最優先とはいえ、周囲は黙ってくれない。127安打まで10本で迎えた今秋、注目の中でもコンスタントに安打を重ねた。立大との開幕カードで、3試合連続マルチの計7安打。残り3本でタイ記録とした早大戦前日、高山は「少なからずこの数字を追っている間はプレッシャーを感じる。『早い方がいい』とは思わないが、たまたま早くなるなら良いと思う」と本人にしか分からない現実と向き合っていた。

 春の覇者・早大との大一番。1回戦で1安打を放ち、2回戦(9月27日)の第1打席で中前打。第2打席の初球、左腕・大竹耕太郎(2年・済々黌)が投じた外角低めの変化球を、バットに合わせる左前打。1967年秋に高田氏が記録した127安打に届き、チームも立大2回戦から4連勝で勝ち点を2に伸ばした。2本とも得点に絡む一打に、高山は「チームメートに恵まれ、その流れに乗せてもらった」と、まずは勝ち点奪取を喜んだ後「達成できてうれしい。リーグ戦は最低年間20試合。残り340日以上は練習で苦しみ、悩んできたからこそ、良い時間になった」と笑顔で話した。

117本で秋を迎え、開幕カードの立大戦3試合で7安打。早大1回戦で1安打を放つと、同2回戦では2安打[写真、第2打席の左前打]通算127安打として、明大の先輩・高田繁氏の持つリーグ記録に到達した



 試合後のロッカーで、高山に関する話題は一切出なかった。主将・坂本誠志郎(4年・履正社)は明かす。

「それでは、チームとして成り立ちませんし、本人もそれは望んでいないこと。アイツはチームのために打つ。皆はアイツに打たせてやろう、と。それが良い形になっている」

 3カードを残し、東大1回戦(10月10日)で新記録がかかる。「気持ちを一区切りすると、チームの足を引っ張る。自分の役割を果たす」と言いながらも、数字への意欲はある。「東都は133(中大・藤波行雄)と聞いた。(127を)通過点にする考え方ではありませんが、気持ちを切らさないためにも、神宮記録を目指したい」。ドラフトを控え、この日は明大の先輩である楽天星野仙一副会長が視察。「勝っていく中で、プロの世界へ行けるのが一番良い」と、高山は目の前の勝利に集中する。

9月27日の早大2回戦では明大の先輩である楽天・星野副会長が視察。1試合を通し観戦し、ドラフト1位候補の後輩の活躍に目を細めた

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