一死二、三塁でスクイズを仕掛けましたが、打者はバントを空振りし、三塁走者は三本間に挟まれました。三塁走者はうまくタッチをかわし三塁ベースに戻りましたが、そこには二塁から進んできた走者が立っています。ボールを持った三塁手は両方の走者にタッチすると、二人とも自分がアウトになったと思いベースを離れました。そこで三塁手はあらためてベースを離れている2人にタッチしましたが、この場合、2人ともアウトになるのでしょうか。 2人ともアウトで併殺が成立します。同一塁上に2人の走者がいるときの扱いを述べている野球規則7.03の(a)には、こう書かれています。
「2人の走者が同時に一つの塁を占有することは許されない。ボールインプレイの際、2人の走者が同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位の走者に与えられているから、後位の走者はその塁に触れていても触球されればアウトになる」 したがって問題の場合、三塁ベース上で2人がタッチされた場合は二塁から進んできた走者がアウトになります。三塁走者はそのままベースに触れていればよかったのですが、ベースを離れた状態でタッチされれば2人ともアウトです。
85年6月8日の大洋-
阪神戦(札幌円山)、阪神3回表の攻撃のときです。一死二、三塁で
佐野仙好が遊ゴロを打つと、三塁走者のバースがベースを飛び出し、三本間に挟まれました。これを見た二塁走者の
掛布雅之が三塁ベースに滑り込んだところに、バースも戻って来ました。
バースを追いかけてきた大洋の
若菜嘉晴捕手は、まず掛布にタッチしてアウトにすると、バースは自分がアウトになったと思ったのかベースを離れたので若菜はタッチしました。バースもアウトで併殺です。
補足ですが、後位の走者がアウトといっても、打者が出塁し、塁上の走者に進塁の義務が生じたときは、占有権は後ろの走者にあります。