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遊撃手からの送球を太陽の光が理由で一塁手が捕球できなかった場合、どちらの失策?

 

遊撃手は一塁へ絶好の送球をしましたが、西日と重なってしまい、一塁手は捕球できませんでした。こうした場合、失策は遊撃手と一塁手のどちらにつくのですか。あるいはどちらでもなく、安打になるのでしょうか。

 絶好の送球をした遊撃手には気の毒ですが、遊撃手の失策となります。野球規則10.12(7)には、

「野手の送球が、不自然なバウンドをしたり、各塁、投手板、走者、野手あるいは審判員に触れて変転したために、走者に進塁を許した場合には、このような送球をした野手に失策を記録する」

 とあります。ただ、ここには西日が目に入った場合は明記されていません。しかし、同規則の[注]にこうあります。

「夜間照明のライトまたは太陽の光線が、プレーヤーの目を射て、捕球が妨げられた場合にも、前記と同様、送球した野手に失策を記録する」

 今はありませんが、かつての広島市民球場は、球場の向きがほかとは逆に作られていたので、デーゲームのとき、一塁手はしばしば西日に悩まされました。西日が左翼から強く、一塁、本塁方向へ照りつけるので、捕手や一塁手は野手からの送球を受けるとき、真っ向から光線を浴びる形になり、プレーに支障をきたしたのです。

 61年6月18日の広島対巨人ダブルヘッダーの第1試合(薄暮)では7回裏の広島の攻撃中に、巨人の森昌彦捕手から「三塁からの送球が西日がまともに入って捕球できない」とクレームがつき、日没になるまで21分も試合が中断されました。

 65年4月25日に東京スタジアムで行われた東京対東映ダブルヘッダーの第1試合でも、5回裏にロッテの打者のゴロをさばいた東映の岩下光一遊撃手の一塁送球は絶好に見えましたが、名一塁手のラーカーがポロリと落としました。左翼に沈みかけた太陽の光線がラーカーの目に入り、ボールを見失ってしまったのです。気の毒ですが、記録は岩下遊撃手のエラーとなりました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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