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延長戦で勝ち越したその裏、9人で試合続行ができなくなった場合の処置は?

 

ビジター球団は12回表に1点を取ってリードしましたが、その攻撃で代打、代走を繰り出したため、ベンチ入りした25人を全部使い果たし、交代要員が一人もいなくなってしまいました。ところが、その裏の守りでビジターの中堅手は捕球の際に足を痛め、退場することになりました。25人を使い果たしているので、交代させる選手がいません。この場合、試合はどうなるのですか。

 ビジター球団には気の毒ですが、9対0でホームチームの勝ちになります。野球規則4.17にこうあります。

「一方のチームが競技場に9人のプレーヤーを位置させることができなくなるか、またはこれを拒否した場合、その試合はフォーフィッテッドゲームとなって相手チームの勝ちになる」

 8人では不利なことは分かっていながら「試合を続行したい」と言っても、それは認められないのです。従って、試合中は選手を使い切らず、必ず1人はスペアの選手を置いておくのがセオリーです。

 プロ野球ではまだ、選手が足りなくなって没収試合が宣告されたことはありませんが、危うくなりかかったことはあります。例えば2014年5月6日の中日阪神戦(ナゴヤドーム)がその一つです。

 阪神は延長12回表に梅野隆太郎の2ランなどで3点を挙げましたが、その裏に25人目の選手である呉昇桓を登板させました。もし、呉昇桓投手がケガでもして退場すると、26人目の選手がいない阪神の負けになるという状況でした。

 その場合の処置ですが、規則10.03(e)(2)には、

「試合が正式試合になった後に、フォーフィッテッドゲームになった場合は、試合終了となるまでに記録された個人およびチームの記録を、すべて公式記録に算入する」

 とあります。勝ちを得たチームが相手チームより多くの得点を記録していたときには勝投手、敗投手を規則によって決定し、公式記録に算入することになっています。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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