打席に入った右打者が2球でたちまちカウント2ストライクと追い込まれたので、ベンチはたまらず左の代打者を起用しました。すると相手も投手を左に代えてきました。代打者は交代した投手の1球目を空振りし、三振に倒れましたが、この三振はどちらの打者と投手に記録されるのですか。

　打者の三振は前の打者に、投手の三振はリリーフした投手に記録されます。

　野球規則10.15(b)には、

「打者が2ストライク後退いて、代わった打者が三振に終わったときには、最初の打者に三振と打数とを記録し、代わって出場した打者が三振以外で打撃を完了した(四球を含む)場合には、すべてその代わって出場した打者の行為として扱う」

　とあります。

　また10.16(h)の(3)には、

「投手が代わって出場した当時、打者のボールカウントが[2ボール2ストライク、1-2、1-1、1-0、0-2、0-1]の場合には、その打者およびその打者の行為はすべて救援投手の責任とする」

　とあるからです。

　念のためにいえば、前記以外のボールカウントのときは、四球を出した場合だけは前の投手の責任になりますが、そのほかはやはり救援投手の責任になります。

　77年8月7日のロッテ対日本ハムのダブルヘッダー第1試合(仙台)の7回裏のロッテの攻撃のときです。一死一、二塁で、打者の末永吉幸選手のカウントが1ボール2ストライクになると、日本ハムは投手を杉田久雄から左の村上雅則にスイッチしてきました。するとロッテも打者を左の末永から右の土肥健二に代えました。代打に出た土肥ですが、1球ボールの後のカウント2-2から空振りの三振です。

　したがって、三振したのは末永で奪ったのは村上と、まったく顔を合わせなかった打者と投手に三振の記録がつくという、奇妙な結果になりました。