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本誌編集長コラム

着実な成長を

 

「これからこういう環境でやっていかないといけない人間だと分かっているので、大丈夫です」

 およそ15歳だとは思えないようなセリフをサラリと吐くところに、自らの運命を真正面から受け止める潔さが感じられる。早実・清宮幸太郎。1年生にして、早くも注目を集める怪物スラッガーを今週号で特集した。こんなに早い段階で、大々的にフューチャーされることは、過去にはほぼない、極めて異例なことだ。

 ただ、冒頭の言葉はいささか大人びて過ぎているようにも感じられ、その点に危うさが内包されているように思えないこともない。「あまり上を見過ぎないようにしてほしいですね。例えば一気にプロレベルを視界に入れるのではなく、もっとも目の前のことを着実にこなしてほしい。一歩一歩、背伸びをしないで成長していってほしい」と今特集で高校の先輩としてエールを送ってくれた荒木大輔氏も言う。

 杞憂かもしれないが、早熟な才能が、開花し切らないまま終わってしまうことが一番怖いことだろう。そのポテンシャルは誰もが認めるところ。一足飛びにではなく、3年間でゆっくりと成長曲線を描いて、さらに上のステージに進んで行ってもらいたい。
野球の風

野球の風

週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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