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本誌編集長コラム

模範となるべき存在

 

 戦後初の三冠王を獲得するなど歴代2位の通算657本塁打を放ち、監督としてもヤクルト黄金期を築き上げた野村克也氏に「四番とは?」と尋ねたら、「中心なき組織は機能しないから」という言葉が返ってきた。野村氏の名言であるが、エースと四番、この投打の中心がしっかりしていなければチームが強くなるはずはないのである。

『しっかり』と言っても、何も数字がすべてではない。むしろ、ほかの選手の模範となる役割が求められるという。その代表格が巨人V9をけん引した長嶋茂雄氏&王貞治氏のONだ。「南海時代、巨人から移籍してきた相羽(欣厚)という選手が言うんだ。『巨人ではONが率先して練習に励むから、われわれも手を抜けないんです』と」

 四番(もしくは三番)で結果を残し、それ以外の部分でもチームに好影響を与える。まさにONは最高、そして最強の存在だった。ところで、野村氏が監督時代、自分が率いていたチームで「これぞ四番!」という選手はいたのだろうか。再び尋ねると、「そんなのいなかったよ。あいつを模範にしろなんて言ったことないから」。名将の四番に対する理想像はとてつもなく高いのだろう。
野球の風

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週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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