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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「楽天・松井裕樹」

 

高卒ルーキーにしてピッチングを知っている


 この原稿の締め切り日が、ちょうど楽天松井裕樹のプロ入り2度目の先発登板となりそうだ。

 実はまだ、私はこの松井裕のピッチングをじっくり見ていない。だが高校時代のピッチングとプロ入り後のニュース映像を見る限り、センスの良さを感じる。

 ストレート、スライダー……というキャッチャーのサインにただうなずいて投げるだけでなく、1球1球に意味を込めて投げている。例えばストレートなら、「このストレートはボールにする」とか、「コースいっぱいを狙う」とか。俗に言う、「投げる球と会話しながらピッチングをしている」ように見受けられる。高卒のピッチャーで、そこまでできる選手はなかなかいない。いわゆる「ピッチングを知っている」選手だと思う。

 ただ、私が個人的に気がかりなのは、小柄なことだ。公式発表の数字では、身長174センチ。私の知る限り、プロ野球80年の歴史で、“小さな大投手”はいたためしがない。ピッチャーの第一条件は背丈なのではないかと思うほど、金田正一さん(国鉄ほか)を筆頭に大柄な選手が多いのだ。

 それも、一理ある。実際、バッターボックスに入ってみると分かるだろう。小柄なピッチャーが相手だと、マウンドまでの18.44メートルが非常に遠く感じる。一方、背の高いピッチャーの場合・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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