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今季、オリックスはパ・リーグ5位から2位へと大躍進を遂げた。その原動力は何と言っても防御率2.89の強力な投手陣。そして、それを支えていたのが正捕手・伊藤光である。チーム飛躍の年に念願のゴールデングラブ賞を受賞。しかし、本人に慢心はない。果たせなかった優勝へ向けて静かに闘志を燃やしている。
取材=三橋祐子 写真=前島 進、BBM

話し合うことでバッテリーになる


──初のゴールデングラブ賞、おめでとうございます。

伊藤 一度は取りたい賞でしたし、今年取ることができて素直にうれしいです。僕が狙えるタイトルとしては一番可能性があるものでしたから。

──チームも大躍進を遂げました。

伊藤 今までも優勝を目指してやってきましたが、実際に優勝争いに絡めたのは今年が初めてでした。サヨナラ負けで始まりましたけど、開幕からチームが一つの方向に向かって戦っていけたことが、好結果を生んだと思います。優勝は逃しましたが、優勝争いをすることの苦しさ、勝つことの難しさ、喜びを感じることのできたシーズンでもありました。だからこそ、いつか振り返ったときに「あのときの経験が生きたな」と思えるようなシーズンになっていなければいけないなと思います。

──昨季と今季で大きく変わったことはありますか。

伊藤 チームとしては、接戦をものにできた試合が多かったですね。自信になりましたし、勝つことによって今まで以上に勝利に貪欲になりました。そして、負けても「明日勝てばいい」と、いい意味で切り替えが早くなりました。チームはいい方向に向かっていると思います。

──伊藤選手自身も昨季よりも余裕を持ってプレーできたのでは?

伊藤 そうですね。初めて1年間試合に出た昨季は勝つ難しさを実感できて、今季は5位で終わった悔しさを晴らすために戦いました。勝つことでいい気持ちで次の日を迎えられましたし、とにかく好循環でした。状況判断など、課題はまだたくさんありますけど、堂々とプレーできるようになったと思います。

──投手陣を見渡せば錚そう々そうたるメンバー。伊藤選手から見たオリックス投手陣のスゴさとは?

伊藤 後ろにいいピッチャーが控えているので、先発ピッチャーは「いけるところまでいけば、後は何とかなる」という気持ちになれたと思います。だいたい比嘉(幹貴)さんから勝ちパターンで投げるんですけど、記録(パ・リーグタイの34試合連続無失点)を作ったピッチャーですし、6回にそういうピッチャーがいることで、僕も気持ち的にラクでした。それ以降もタイトルホルダーがたくさんいますしね。

 ただ、僕としては今年は比嘉さんが一番しんどいポジションだったと思います。ピンチで出てきて抑えて帰っていく姿に、みんなも鼓舞されたと思いますし、実際に7勝も挙げていますからね。とにかく、ピンチになっても流れを切れるピッチャーがいることが、ウチの強みだと思います。

──救援投手の防御率は2.49。鉄壁の救援陣です。

伊藤 岸田(護)さんも以前は抑えをやっていましたし、馬原(孝浩)さんもホークスでずっと抑えをやっていたので、相手からしたらプレッシャーでしかないでしょう。その後も、(佐藤)達也さん、平野(佳寿)さんと続きますけど、嫌な投手陣ですよね。正直、僕は・・・

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