12年前のセンバツ高校野球優勝投手。その後も早大、トヨタ自動車とエリート街道を歩み続けた。プロでも2年目、3年目と先発、中継ぎにフル回転したが、昨年は7点台に近い防御率で浮上のきっかけをつかめなかった。勝負の5年目は意識改革を行い、本来の自分を取り戻しつつある。 取材・文=佐伯要 写真=内田孝治、BBM 苦しかったシーズン 「ここまで順調にきていますね。自分の感覚で投げることができている。思ったような球が、思ったようなところにいっています」
5年目のシーズンを前に、
大谷智久は手応えを感じている。3月20日時点でオープン戦5試合に登板し、計7イニングで自責点2。
伊東勤監督も「今年の大谷はいいですよ」と太鼓判を押す投球を見せている。
昨季は14試合に登板して2勝5敗、防御率6.99という成績に終わった。「一言でいえば、苦しいシーズン」と、大谷は苦笑いで振り返る。
「うれしかったことが一度もないんです。必要以上に結果を求め過ぎて、常にいろんなことを考えて、まったく余裕がなくて……。野球自体を楽しんでいなかった。打者よりも自分との勝負になっていた気がします」