今季限りで現役を引退した谷佳知も認める非凡な打撃センスは、高校時代から注目されてきた。俊足を生かした外野守備に、長打力も持っている。しかし、入団から3年間で一軍定着には至らず。今季、つかみかけた“感覚”で、来季こそ、一軍での飛躍を誓う。 谷との濃密な時間
10月3日、
オリックスの今季最終戦は、谷佳知の引退試合だった。試合後に行われた引退セレモニーを見届けた
武田健吾は、寂しそうにこう言った。
「もっと谷さんと一緒に野球して、いろいろ教わりたかったな……」
自由ケ丘高から2013年ドラフト4位で入団。迎えたプロ3年目の今季、谷と過ごした濃密な時間が、武田の脳裏にしっかりと刻まれている。
「今日からお前のバッティングコーチになったるわ」
今年2月、宮古島で行われた二軍キャンプで、谷が武田に声をかけた。並外れたセンスを感じさせるが、あとひと伸び足りない――。大きな可能性を秘めた、人懐っこい20歳を何とかしてやりたいと思ったのかもしれない。
武田は、1年目はプロのスピードに慣れ、細かった体を大きくすることに力を注いだ。2年目は苦手意識のあった走塁強化に着手した。陸上の専門家の指導の下、腕の振りや足の運び方など、走るフォームを改善。その上で、実戦の中で野手の位置や試合状況などを考え、走塁の感覚を養い、次第に苦手意識を克服していった。
そして3年目は、打撃力アップを第一のテーマに掲げた。中距離打者を目指す武田にとって、シーズンの最多二塁打記録を持つ谷は理想のバッターだ。その谷からの願ってもない申し出に「めちゃくちゃぜい沢ですよね」と幸運を噛みしめて、指導を受けた・・・
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