週刊ベースボールONLINE

 

ここではオリックス以外の11球団の「救援力」をチェック。果たして最も強固な“勝利の方程式”を持つチームはどこなのか。その顔ぶれを見ながら戦力を徹底比較してみたい。
※選手の年齢と成績は6月21日現在

東北楽天ゴールデンイーグルス
救援力診断 45点
及第点は福山と西宮だけ課題山積みのブルペン

西宮悠介 25試合登板 1勝0敗0H0S 防御率2.00/福山博之 29試合登板 2勝0敗7H0S 防御率0.84


▲斎藤 隆 17試合登板 0勝1敗6H0S 防御率3.06/ファルケンボーグ 14試合登板 0勝2敗1H7S 防御率1.93


 安定感を欠く先発陣に加え、ブルペンの脆弱さもチーム低迷の大きな要因の1つとなっている。ここまで中継ぎ陣で及第点を挙げられるのは4年目の福山とルーキーの西宮のみ。新クローザーとして期待されたファルケンボーグも不安定なピッチングが続き、実績ある小山伸一郎青山浩二長谷部康平金刃憲人らも期待を大きく裏切っている。

 開幕から孤軍奮闘の福山にもやや疲れの色が見え始めており、上位浮上には6〜8回を任せられる新戦力の台頭、斎藤隆、ファルケンボーグの復調は絶対条件。首脳陣は打開策として青山を先発に回し、黄金ルーキーの松井裕樹の中継ぎでの起用も示唆しているが、どちらにしてもブルペンを含めた投手陣の再整備と安定なくして低迷脱却は見えてこない。

埼玉西武ライオンズ
救援力診断 70点
増田―高橋で安定感もう1枚あれば……

▲ウィリアムス 24試合登板1勝2敗7H0S 防御率3.74/増田達至 15試合登板2勝1敗6H0S 防御率4.91/高橋朋己 26試合登板0勝1敗6H12S 防御率1.42


 現在、勝ち試合で終盤を担う勝利の方程式は、厳密には増田と高橋の2人に限られる。序盤はセットアッパーを高橋、クローザーを十亀剣が務めたが、十分に機能せず、高橋−十亀で勝利したのは2試合のみ。5月には十亀が先発に配置転換、増田が右肩の故障リハビリから戻ったことで、増田−高橋の方程式が整った。

 右の増田、左の高橋で当初は打者の左右で逆のパターンもあったが、不運な救援失敗などもあり、現在は固定となった。実際、このパターンになってからは5月31 日から7試合連続で救援に成功。現在は先発が長いイニングを投げられる状態だけに事足りているが、暑い季節を迎え、7回まで持たなかったとき、ウィリアムス、ボウデンが安定し、ルーキーの豊田拓矢が力をつければ心強い。

千葉ロッテマリーンズ
救援力診断 30点
西野が守護神として君臨も橋渡し役が不安定

益田直也 24試合登板 4勝1敗10H0S 防御率4.74/大谷智久 14試合登板 0勝1敗4H0S 防御率3.04


西野勇士 29試合登板 0勝1敗3H14S 防御率2.10


 クローザーの西野は登場すれば一安心の安定感を誇っているが、そこにつなぐまでの中継ぎ陣がパッとしない。6月23日にはセットアッパーだったカルロス・ロサが二軍落ちとなり、試行錯誤が続きそうだ。6月は21日までの月間救援防御率が5.48と崩壊気味。本来なら盤石の態勢を築いているはずだった益田、松永昂大、カルロス・ロサらが安定感を欠いているが、共通するのが昨年に50試合以上に登板している点。そろって防御率を落としているだけに、登板過多の影響も少なからずあるだろう。

 しかし先発陣もやり繰りに四苦八苦しており、早いイニングから救援に頼らざるを得ないのが現状だ。6枚の先発ローテーションが固まるまでの最低限として、西野につなぐ8回を確立させたい。

福岡ソフトバンクホークス
救援力診断 90点
12球団一のメンツの中で終盤3イニングは固定

岡島秀樹 27試合登板 4勝3敗17H0S 防御率2.05/五十嵐亮太 26試合登板 1勝0敗15H0S 防御率1.16/サファテ 31試合登板 3勝0敗3H19S 防御率0.55


 質、量ともに12球団一と言えるブルペンにあっても、経験豊富な3人が絶大なる信頼を得て、僅差の勝ちパターンの役割を固定されている。7回は岡島、8回は五十嵐、9回はサファテ。日米を通じて、複数球団を渡り歩いた経験を持つのがこの3人の共通項だ。

 たとえ救援失敗の事態が起ころうとも、それを次の試合までにリセットできる3人だから、起用法が変わることもない。そのほかのメンバーも強力。3年連続50試合以上登板、ワンポイントだけでなく回またぎもこなす森福允彦が控え、早いイニングで先発が降板しても柳瀬明宏嘉弥真新也が試合を立て直す。これまでリーグで唯一、1点差ゲームの勝率が5割を超えるのは、秋山監督が「頑張っている」と目を細めるリリーフ陣があるからだ。

北海道日本ハムファイターズ
救援力診断 80点
充実のリリーフ陣 新守護神の増井が奮闘中

アンソニー・カーター 19試合登板 0勝2敗6H0S 防御率1.50/宮西尚生 29試合登板 0勝2敗19H0S 防御率2.25


▲クロッタ 30試合登板 1勝1敗 18H0S 防御率0.87/増井浩俊 28試合登板 3勝4敗5H12S 防御率3.14


 13年まで守護神だった武田久が今季は救援失敗が続き、二軍降格。もともとセットアッパーだった増井がクローザーに回り、新たな守護神になった。今季の主な勝ちパターンは、宮西、クロッタから増井につなぐ形だ。クロッタは4人の中で最も安定感があり、左の宮西はワンポイントも可能で、1イニングをきっちり抑える力がある。増井も新たな役割に奮闘中で、抑えに定着した。

 ただ好調時は問題ないが、崩れることもあり、これから消耗の激しい夏場に調子を維持できるかがポイントだ。先発が5回を持たずに降板するときは谷元圭介がロングリリーフでつなぐ形が多く、5回まで行けば、6回に、今季途中に加入したカーターを送り込むパターンもある。延長にもつれた場合もカーターの出番になる。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング