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2014タイトルウォーズ

マートン 高打率を維持する「メジャー流練習」とは…

 

打撃練習をメジャー流変更で集中力、疲労蓄積を軽減




 最多安打のタイトルを3度獲得してきた男が、シーズン最終盤を迎え、自身初となる首位打者のタイトルを手の届く位置としている。日ごろから「数字に関してはあまり興味がない。終わってから結果が出ること」と語るが、ある課題を克服したからこそ、その座が視界に入ってきた。

 データが示していたのは夏場のもろさだ。来日から過去4年、必ずと言っていいほど7、8月に調子を崩していた。オールスター前後まで高打率をキープしていながら、日本独特の暑さが蓄積疲労を倍増させ、メンタル的にも打ち気がはやってボール球に手を出すことで、持ち前の安定感が失われていた。関川打撃コーチは「チャートを見ても、ストライクゾーンに関してはすべて3割を超えている。いかにボール球に手を出さないかが重要」と分析していた。暑さに負けず、技術、精神の両面においてベストコンディションを保てるか――。そのテーマに合致したのが、意外にもゴメスのために取り入れたある練習法だった。

 交流戦も終盤に差し掛かったころ、試合前のフリー打撃で2人が5球交代で回し打ちを始めた。阪神では基本的に1人の選手が5分、10分とぶっ通しで打ち続ける練習スタイルが定着していた。だがメジャーでは与えられた時間の中で、複数の選手が交互に打つのが主流だ。関川コーチが2人の希望を採用し、特別な時間を作った。

 これが功を奏し、夏場に入ってもスイング力は陰りを見せなかった。集中し、短時間で調整を重ねることで疲労を軽減。

「2人で交互に打つことで集中してできるし、休憩の時間も取れる。それがしっかりと練習に取り組める要因になっているのかもしれない」と明かしていたマートン。効果は数字となって如実に表れた。

 7月に今季最高となる月間打率.381をマークすると、6連戦が続く8月に入っても勢いは衰えなかった。途中、下半身のハリで数試合欠場するアクシデントはあったものの、月間打率.365とハイアベレージをマークした。昨季は7月が.215、8月は.277。夏場を最高の形で乗り切ったことが、首位打者に近づいた最大の要因だ。さらにオマリー打撃コーチ補佐の就任により、母国語で率直に意見を交わせるようになったことも一つの要素。環境面の整備が、マートンの持てる打撃技術を最大限に引き出した。



セのライバルたち


 打率部門3位に着ける菊池涼介(広島)の存在は脅威だ。9月21日現在.320という高打率を誇っている。二番打者ということで五番を打つマートンよりも打席回数が多く、CS争いも絡んでおり、高い集中力での打撃が続く。それが好調を維持するモチベーションになれば最後でかわされる可能性も。そいう意味では一番打者で最多安打のタイトルがかかり打率2位(.321)に浮上した山田哲人(ヤクルト)の存在も怖いところだ。

パの首位打者争いの現状


 パ・リーグは銀次(楽天)と糸井嘉男(オリックス)、ソフトバンク勢3人の争いとなっている。21日現在の1位は銀次の.328で、3位に内川聖一(.314)、4位の柳田悠岐(. 310)、5位中村晃(.3109)となっている。現在2位の糸井はヒザのケガを抱えながらの出場で、これから厳しい打席が続く。一方、ソフトバンク勢は優勝に向け勢いがあり、3人で競いあえば打率も上昇する可能性も。一方、銀次はリラックスして打席に立てる!?それにしてもシ烈な戦いは最後まで続きそうだ。
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